第十話グランドファーザー

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世界中のキリスト教徒の中にいや司祭の中にも彼らに心酔した者達が何食わぬ顔で紛れ込んでいるのかもしれません 私はだんだん恐ろしくなりました このままでは私は自分の教派を裏切ってしまいます 私は彼らと距離を置こうとしました。 しかしその時はすでに遅かったのです、私は彼らの秘密を知らされる立場になっていたのです 彼らは簡単に私を抜けさせるとは思えませんでした それ以上に恐ろしかったのは彼らとの関係を教派の人達に知られる事でした。 知られれば私は司祭として生きて行けなくなります 私から神父の仕事を取れば私に何がのこるでしょうか 私は脱退を言い出せないままズルズルと彼らと協力関係を続けました 大事な信者が彼らにどのように教化され、どのような目的で教会に戻されるのか 信者の不安の払拭された明るい目の瞳の中にどれだけ怖ろしい悪魔が入り込んでしまったのか それに怯えながらも教派に対する裏切りの罪悪感を感じながらも結局ズルズルとより深く彼らとの協力関係を前進させて行ってしまったのです。 しかし私が彼らを恐れてだけ協力していたかと言うと嘘になります これはオームの一部の幹部が麻原に恐怖を感じながらも麻原に惹かれて悪事に手を染めて行ったのと同じ感情だったと推測出来ます 彼らと協力関係が深まるに連れ私の罪悪感や恐怖はだんだん薄れて彼らと行動する事が充実感を感じるように変わっていたのです それはまるで悪を知らない少女が悪い友達に遊びを教えられ、いけないと思いながらも彼らが誘って来るのを心待ちにするような感情でした。 そう、私は彼らに魅入られてしまったのです。 そしてだんだん道義的倫理的なタブーを超えた行為、つまり犯罪的な行為にさえ手を染めるようになりました そして大きな仕事を任されるようになると、私は自分の所属する教派に対する忠誠心さえなくなってしまったのです もはや私は彼らに放たれた間者として宗派に所属している状態にまで堕落して、その事に対する罪悪感さえなくしてしまったのです。 そして彼らの中で幹部的待遇を受けるようになりました そしてついに彼らの首領である男グランドファーザーに直接命令をもらえるようになったのです グランドファーザーは、今は表向き宗教界から引たいをしていますがその頃は東方教会の幹部でした あなたもご存知の宗教界の大物レインハドラーです 彼の裏の顔
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