第十話グランドファーザー

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人を殺す人ではなかったのです 私は何とか元の教会に戻る事を許されました ただし宗教集団での出来事は決して他人に漏らさない事が条件でした。 私は一生監視を受けるでしょう 自分の蒔いた種なら、それを受け入れるのはやぶさかではありません しかしこれからどのような顔をして司祭として信者に教えをたれて行けばいいのでしょう いっそ死んでしまった方がどんなに楽か しかしキリスト教徒は自ら命を絶つ事は最大のタブーです もしかしたらグランドファーザーは死と言う制裁の代わりに罪悪感と言う地獄を私にあじあわせるため私は殺さなかったのかもしれません 私はそれからどからか監視されながら司祭として生きました 汚れた口で信者に説教をし、汚れた耳で懺悔を聞き続けたのです それから随分時間がたちました オームの事件があってから宗教集団は日本での活動を抑えるようになりました 当時はオームに破防法の適用まで検討されていた時代です カルト教団と言うだけで監視を受ける状態でしたから危険を冒してまで活動するのは慎重なグランドファーザーからは有り得ないようでした。 宗教集団は活動の拠点を海外に移し、私への監視もあまり厳しくなくなったようでした。 私はカトリック教会の中で死ぬ事も出来ず、指導的立場になって行ったのです 時間が経つに連れて私の中にある一般的贖罪意識はパトリックに対する後ろめたさに変わって行きました パトリックを置いて逃げた私 あれからパトリックはどうなったのだろう もちろん宗教集団にそれを聞く勇気はありませんでしたし、もうかかわりたくないと言うのが本音でした。 しかし本心はパトリックが生きてるなら心から詫びたいと思っていたのです 死んでるなら霊前に花を手向けて謝罪したいと考えておりました。 そんな時ある人物が訪ねて来たのです 私達の宗教集団ではシスターメアと呼ばれた美少女 そう、日本人なら誰でも知っている女優赤城遼子だったのです。 赤城遼子の口から相思相愛の少女がシスターメアだと私は初めてしりました パトリックはその相手の名前は私にも教えてくれませんでした シスターメアは、若年ながら宗教集団の宗教工作員でした。 彼女は表向きはコミューン修道院のシスター見習いでしたが、聖女の里と呼ばれる養成女で訓練を受け、女性工作員のリーダーであるマザーエリカを補佐する優秀な工作員だった
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