11話ヒトラー

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「俺はあの時、俺さえ自分を捨てれば全て終わると思っていた だが終わっちゃいなかった。 終わらせなければならない それは俺の宿命なのかもしれない だから私は 再びこのドイツの大地を踏んだ もう自分から逃げる事はない 私が全てのけりをつけるつもりだ 君には悪いが地獄への道ずれにするかもしれんぞ」 今井は何も答えなかった そして言った 「何故先生はヒトラーと聖痕の断罪を結びつけたんですか」 「聖痕の断罪の秘法はプラハ城の主として君臨したボヘミア王の一族プシミル家が謎解きに成功してかくしていたと言う噂があった プラハ城のあるボヘミア地区はプシミル家の力が衰退すると統治者が変わりやがてヨーロッパ最大の貴族ハプスブルク家の統治になる つまり神聖ローマ帝国の直接統治となるのだ この統治者の中にルドルフ二世と言う変わり者の皇帝がいた。 この男は自らが名門ハプスブルク家出身でありながらハプスブルク家や、縁深いカトリックを嫌っていた。 かわりに彼が信用し支援したのはユダヤ人とユダヤ教だったと言われる 特に彼が力を入れて保護したのがユダヤ教の中でも神秘主義と言われるカバラだった カバラにはアダムとイブの代わりに生命の木と言われる概念がある この生命の木と言う発想はキリスト教の信じる創造説からはほど遠く、むしろ進化論に近い それがゆえルドルフ二世は神秘主義の研究を次の統治者には伝えられなかったはずだ ルドルフ二世はボヘミア王の持っていた秘密や自らが研究して得た秘法や研究成果をカバラに継承させたはずなのだ ヒトラーがまだ無名の政治家の頃ハヌッセンと言う男がヒトラーに近づき側近になった 実はこの男こそカバラの流れを汲むカバラ占星術師なのだ」 「ヒトラーが首相になると言う予言を的中させた男ですね」 「世間ではそうだが、真実は違う 予言を的中させたのではなく、予言を実現したのだ カバラの秘法をヒトラーに教えて カバラの秘法があればヒトラーでなくても首相になれるかもしれない ライラントの時もハヌッセンはヒトラーの背後にいた。 恐らくイギリスが手を引かざる知恵と必要なツールを与えたのは、このハヌッセンで、それに使われたツールはルドルフ二世からカバラが受け継いだ物だろう プシミル家、ルドルフ二世、カバラ、ハヌッセン、そしてヒトラー
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