11話ヒトラー

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この一本の線の中にダーウィンの進化論を証明する何かと聖痕の秘法の謎解きのヒントが必ず隠れてると私は考えている」 「しかし時間軸が少しおかしいですよ ライラント駐留は1936年、ハヌッセンはその前の33年に殺されている」 「おかしくはないよ ライラント駐留は三年以上前から練られていたプランだ じっくりイギリスをヒトラーは説得していたのだ 同時に時期を待っていた、機が熟すのを」 「どういう事ですか」 「ライラント駐留と言う物がヒトラーの政治力をより大きくするために、ある条件が整うのを待っていたんだ」 「なんですかそれは」 「ドイツ国民の不満だ それより前にイギリスとフランスは賠償額の減額と撤兵に応じてドイツとしては楽になった ここで無理に行動を起こすと、これらの緩和策が取り消されてしまうかもしれない それに緩和策を出してやったのに、恩を仇で返す事になるからイギリスも黙ってないだろう だからヒトラーは辛抱強く国民の不満が感謝の気持ちから再び連合国への敵意に向かう事とイギリスを刺激しない事を考えて切り札を温めて準備を進めていたのだろう」 本居は羽田に到着した 空港に入るとたまっていた緊張感と疲れが一度に出た それでも本居は捜査メモを開き空港ラウンジのソファーに崩れるようにして座った 傍らにスポーツ新聞が置いてあり、その書籍紹介欄に一つの書籍名が書いてあったのに注目した。 『聖痕の断罪の謎を追う』 本居はその書籍紹介欄を熟読した。 その時本居の頭に浮かんだのは寺田副教区長の手紙のある事実と言う文章だった 紹介文は読者の興味をそそるように刺激的な小見出しの連続だった 『キリスト教の司祭達に密かに語り継がれる究極の呪いの謎』 『日本での唯一の研究者名高聖浄とはいかなる人物か』 『司祭達が口を決して開かない、その呪いの内容を推理する』 『謎の詩は何を意味するのか』 『落下死した司祭は、その呪いの犠牲者なのか』 「落下死した司祭 他にも死んだ司祭がいるのか」 エリカの経営する会社会長室 エリカが電話でブラザーと話している 「エリカ、ブラザー直己が失踪した」 「えっ直己が まさかメアが」 「いや、俺達はとんでもない勘違いをしてるかもしれない」 「勘違い?」 「ブラザー牧が死んだのもメアの仕業ではないかも」
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