11話ヒトラー

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まるで聖痕の断罪を受けたように全身に聖痕が現れていた。 しかし聖痕の断罪は簡単に使える呪いじゃない だから宗教的な罪悪感から自殺したと考えた方がだとうだ 牧は信仰心が強かったからな しかし全身に聖痕が現れるのは催眠術を使っても難しい しかしある物を使えば、それに近い事が可能だ マイロンDR2を使えば」 「マイロン」 「ヒトラーナチスが極秘に開発した宗教的感応を極限まで高める薬だ このデータだけが連合国に渡らなかったと言われる ゲシュタポ(秘密警察)がどこかに隠したらしい 元ゲシュタポと言われるグランドファーザーなら製法を知ってても不思議ではない」 「そこまでしてでも、 もしかしたらグランドファーザーは全てをメアの責任にして、教団の人々の憎悪をメアに集中させるつもりなのね」 「そうだ、しかしメアが試練を生き残り後継者としての実力を備える事を心から願ってるのもあの人だ 全く複雑な人だよ おそらくヒットラーやスターリンより複雑な性格だ それにしてもメアがうらやましい メアが教団内で昇進して実力者になっていたら、一番先に命を狙ったのは俺かもしれない」 「どっちにしても私達はメアと戦う運命だったのね」 ふ頭への道を一台の高級外車が走っている 運転席には緊張した面もちの草苅暁が乗っている 何か思いつめてるようである 『遼子、お前とは不思議な縁だった 俺はお前にあった時この娘なら第二の吉永小百合になれると思った。 そしてお前はその期待に応えてくれた ありがとう 俺は究極のマドンナを作れて満足だ 世間には言えないがお前の心には一生変わらない一人の男が住んでいる つまり俺は既に一人の男の物になっているお前を誰の物でもないよう偽って世間に出した 俺は世間を騙した事になる しかし俺は恥じてはいない 何故ならお前の心にはあれ以後誰も住まないと思ったからだお前はそう言う女だと思った だから お前に憧れる男達は決して失望させられる事はないだろと そして少なくとも今まではなかった事に感謝する しかし出来たらパトリックの事は忘れて欲しかった お前がこの二十年パトリックの復讐だけを考えて生きて来た事を頼もしく思うと同時に寂しく思う俺がいる
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