11話ヒトラー

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あの日パトリックが死んだ日正気を失いかけたお前に俺は言った 復讐したいなら好機を待てと 芸能界に入って力を貯えろと 考えてみれば俺もおかしな説得をしたものだ しかしお前は俺が言った以上にこの意味を理解した。 そしてお前は見事に力を蓄えた お前のおかげで俺も大きな力をたくわえられた。 俺達の力とは芸能人として日本中に名の知れた知名度 その知名度があればこそ、常にマスコミは俺達の事を監視し、それにより社会が動く、名前の知れた者に危害を及ぼすことは、社会からの追求を受ける可能性が高いので慎重になる そして地位が盤石になった時お前は牙をむいた 俺はあの時約束した。 必ず力を貸してやると しかし最近気づいたんだ もうお前には援助は必要ない お前も俺など頼ってないだろう この上は俺のやれる事はお前への追求を足止めしてやる事だけだ そしてそれは俺が消える事 もちろんお前のためだけではない お前の芸能人人生の汚点パトリックの存在を出来る限り発覚を妨げ、お前に対して一途になってる多くの男性ファンに甘い夢が覚めるのを、少しでも遅れさせてやりたい 遼子初めて告白させてもらう、お前は俺が作った最高傑作のマドンナであると同時に俺がこの世で唯一愛した女だ お前の心が決して誰にも開かれない事をしりながら、間抜けな話だが だが一言』 「お前は最高だ 愛しているぜ遼子」 草苅はアクセルに足をかけた そのふ頭の先には東京湾がある アクセルに足をかけたがやはり躊躇した。 大きく息を吸っても落ち着かない 草苅は震える手でタバコを出してくわえた この世で最後の一服と言うより恐怖を紛らわしたかった その時横合いから猛烈なスピードで一台の乗用車が近づいて前の方に止まった 乗用車の運転席から手が伸びテールに赤燈がセットされた それを見て草苅は反発した 「なめるな」 草苅は切り返すとUターンしてそのまま突っ込んで行った 覆面パトカーはそれをよけながら草苅の外車のドアに自分の車のヘッドをわざとぶつけた 草苅の車は方向を狂わせながらも海に落ちて、しばらくして海中に沈んだ 覆面パトカーからハンマーを持った入谷 が現れ海に飛び込んだ 赤城家邸宅の傍らにある電柱 作業員に偽装したテレビ制作会社のクルーがハンディカメラをいじっている
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