11話ヒトラー

11/12
前へ
/336ページ
次へ
そこへケータイ受信がある 制作会社クルーは電話を取った 「はい谷川です」 「社長の山杉だ 誰の指示だ」 「専務ですが」 「最近はキー局もコンプライアンスにうるさい 一般人への接触はダメだ帰って来い」 「はあですが」 「はあって、その返事は何か撮れたのか」 「そうじゃないんですけど、赤城の父親の様子がおかしいんですよ」 「おかしい、そりゃ娘がトラブルに巻き込まれてるんだから」 「何かイライラしていて、突然決意したように部屋を出て行くんですが、しばらくするとガッカリしたような顔で戻って来るんです 仕事に行かない時は1日この繰り返しです 盗聴したら何か出てくるんじゃないでしょうか」 「盗聴は不味いだろう もしばれたら」 「しかし素材になるかもしれません もしかしたらスクープかも」 「ダメだ、今は昔みたいに簡単に局は制作会社を切れない 尻尾切り覚悟するから冒険させてくれと言っても、いい返事はくれない あきらめろ それに相手は被害者 の家庭だ 覗き見してる事がわかっただけでも大問題になる」 「わかりました撤収します」 お茶の水南署の取り調べ室の椅子に座ってふてくされてる草苅である 入谷が入って来る 制服を着ている 草苅はなぜか拘禁服を着せられている 入って来た入谷の制服の筋を見て入谷は言った 「驚いた、あんた署長さんだったのか」 「そのようだな」 「まあいいや、それよりこれは一体なんだ」 草苅は拘禁服の両手を幽霊のように出した 「人権の何もあったもんじゃないな 「ちょうど身体に合う服がなかったんだ 人権により大事な人命を守った恩人に随分ないい草だな」 「その点については感謝する」 「何で自殺しようとした」 「自殺なんかしてない ブレーキの調子が悪かった」 「事故だと まあいいしばらく泊まっていけ」 「泊まっていけだと なんの権利で 俺は犯罪者ではない」 「あんたの外車、所有権まだディーラーにあるそうだな」 「それは、車屋が金利が欲しいと言うから割賦にしてやったんだ」 「こっちには関係ない 他人の車を海に沈めたんだから器物損壊だ」 「別件で上げるつもりか しかし器物損壊で逮捕拘留はないだろう ディーラーも被害届は出さないぞ」 「よくご存知で しかしもう一つある」
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加