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「なんだと」
「俺はあんたの自殺を阻止するため覆面パトカーを横付けにし、赤燈までつけたよな」
「あっ」
「赤燈をつけてる車に突っ込んでくりゃあ、立派な公務執行妨害だ」
「ブレーキが壊れてやむおえなかったんだ」
「ふ頭の先に向かって走るなんて理由がなければおかしいだろう
それにブレーキが壊れたかどうかは車をサルベージすればわかることだ
あそこは近浅なんだよ
静岡でやられたらこっちもちょっと引き上げられなかったがね」
「別件逮捕か
弁護士を呼んでくれ
それまでは黙秘する」
「ああいいよ
こっちもそこらの弁護士なんか足元にも及ばない奴が帰って来るからな」
「あのズラか」
「ズラッて、それはその」
「あいつに言っといてくれ、あんたのおかげで賞味期限切れの元グラドルがカムバックを夢見て、あっちこっちに運動するんで迷惑している
AVの口車に乗って脱いだ時のタイトルは、おそらくありがとう本居刑事殿に決まりだと」
「本居が何か貸しを作ったのか」
「黙秘権行使する
と言うか、あんたと話したくない」
入谷は部屋を出た
副署長が寄って来た
「署長、草苅は随分強気ですね
自殺しようとしたなんて考えられない」
「警部、俺は君より少し若いが若い頃から世間の泥に染まって来た
人間が自分が絶対的不利にも拘わらず強気の態度に出る場合は必ず隠したい者か守りたいものがあるんだ
我が身に代えてもだ」
「じゃあ厄介ですね
かなり」
「尋常な取り調べ官じゃ歌わない
警視庁に音田警部を応援してくれるよう要請してくれ」
「落としの音松ですか」
「そうだ」
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