パトリック問題

2/128
前へ
/336ページ
次へ
首藤から本居に突然電話があった お茶の水駅の賑わい はいつもより激しかったので、本居はリダイヤルしようと思ったが我慢しきれず 雑踏から少し離れた道に走り息をはずませがら電話を取った 「本居です」 「道警の首藤だ もう東京についたか」 「あとちょっとで署です」 「かけ直そうか」 「いえどうぞ」 「君に頼まれた事、とりあえず出来る限りの資料は揃えた しかしセキュリティーが硬くて、道警本部長の私が無理をすれば開けない事はないが」 「いえ、派手に動かれると、目立ちますから」 「そう思って、とりあえず取れる情報だけにしといた ただ大変難しい内容 を含んでいるので電話やメールと言うわけには行かない 一人警視庁に出張させるから、そいつから受け取ってくれ 信用出来る男を行かせるから」 「そんな事までしていただいて」 「君のためだけじゃないじゃあ」 電話は切れる 「だけじゃないか その意味がいつまでも正しくある事を願ってますよ本部長閣下」 「どうやら、本格的に動き始めちまったようだ ルビコンの川を渡りその先にあるのは」 本居は自分の足が小刻みに震えてるのを見た 「戦慄、それとも武者震い」 本居は股に手を当てて言った 「最近近すぎるな 診てもらうか」 本居はタクシーでお茶の水南署に到着した。 玄関先で入谷が誰かを待っていた 「署長、本居戻りました わざわざ じゃねえだろう、誰待ってんだよ入谷警視」 「おっ、君も知ってる人だ」 「草苅を確保したんだって」 「まあ、今日はこのまま家へ帰れよ」 「そうも行かないんだよ、真壁とも少し話したいし」 「あいつは出張ってる 新しいネタが入ったんで、裏を取らしてる」 「新しいネタっ」 本居はそう言いながらふらついた 「おい、無理するなよ とりあえず署長室のソファーに寝っ転がってろ あいつも直に帰って来るから直接聞けばいい」 「ああ、そうさせてもらう」 「部屋のカギだ ドアちゃんと閉めとけよ 同期に甘すぎるって思ってる奴も多いから」 「わかった」 本居は署の建物に入って行った 入谷はしばらく道路の方を見ていたが、何か用事を思い出したのか署の方へ引き返そうとした。 その時だった 車の入って来る音がした。 振り向くと一台のワゴン車が駐車スペース
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加