私の聖女の作り方（天使の犯罪）

パトリック問題

本音は違う」

「本音」

「いきなりある筋から横槍が入った

仕掛けた御仁はわかってるが」

「ある筋、政治家ですか」

「ちょっとこっちへ来い」

音田は入谷を自分のワゴン車に誘ってドアを閉めた

「OBだ、それもトップクラス、つい最近のOBじゃない

二十年前の警察官僚達だ」

「と言うとオームの捜査の人達ですか

じゃあ赤城遼子はオームの残党に拉致されたんですか」

「それならこんなに暢気なわけない

しかしこの事件にはオームの足跡がある事は間違いないだろう、この事件を追求すると再びオームの事が注目を浴びる

マスコミが当時の事をかぎまわり自分達の所にもインタビューが来る

自分達の平穏な生活が脅かされる

やっと解放されたのに」

「それだけで横槍をしますか

また横槍を許しますか、天下の警察庁が」

「サリンだよ

当時オームが作ったサリンはすべてオームに廃棄されたと処理されたが、その証拠は示されていない

またオームが廃棄したと言う事か真実でも製造方法実験データのすべてがオームの残党にわたらなかったと言う保証はない

マスコミの対応次第では不必要に人々を不安にさせる要素がある」

「つまり主要メディアとの報道協定が成立するまで正式な帳場は困難なんですね」

「それをやらないで大掛かりな帳場を立ち上げると各メディアは過剰競争に陥り報道合戦になってしまう、それによりオームの古傷や綻びにぽろりとなって国民の注目がもし再びサリンの処理問題に向かってしまいサリンについての決着が完全な形ではない事に国民が着目してしまうと、その鎮静化は容易ではない

そしてもう一つ、麻原やアーチャリーを信望するオーム残党の中には、これを受けて再びサリン製造に踏み切る奴が出るかもしれない」

「しかしサリン製造には巨額な投資と設備が必要では」

「最近オームの思想に近づき始めている若い連中の中にはネット成金もかなりいるらしい

奴らは地域警察が通常捜査しにくい超高層インテリジェントビルの高層部分を所有している

都心の超高層ビルの最上階であればサリンを散布するにもふさわしい

寒村のサティアンと呼ばれる建物で製造された時は製造から使用までの大きなタイムラグ、実行までの物理的障害、未完成なデータから、あれだけの被害だったかもしれない

これらほぼクリアされてる状況で都心の超高層ビルの最上階からサリンが使われたら