パトリック問題

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例えわずかな量でも首都機能が麻痺する恐れさえある もし赤城遼子の事件でつながりから再びオームが国民の脚光を浴び、それによりオーム残党が刺激され活動を始め、その活動がマスコミにより再び国民の耳目に触れる事になれば国家治安上大変厄介な事になる」 「するとマスコミと完全に協定が結ばれるまで、我々は正式に帳場を立てられない立場で捜査をしなければならないと言う事ですか」 「前のオームの時に民法連や主要五紙と交わした極秘報道協定がある、こいつを叩き台に今総務や察長の長官官房が交渉に入ったらしい しかししばらくはかかるな」 「そうでしょうね ネットの普及のため大メディアが情報をすべて管理する事が不可能になった IT産業に圧力をかけても個人のホームページや、その拡散は防げない それに配信の連中には五紙のような特権がないから鞭しか使えない それで協定に応じるとは思えない ネットがすっぱ抜けば主要メディアは後追いになり面子が潰される」 「それでもある事ない事垂れ流しされるよりはいい マスコミが報道合戦にヒートアップすれば三浦事件の二の舞になる とりあえず主要メディアとの協定成立は社会の不安材料を減らす事にはつながる それまでは正式な帳場は立てられないだろう」 「帳場が正式に立てられないと強制捜査や証拠保全に限界がありますね」 「その状態でも赤城遼子の生存は確保しなければ警察庁は面子を失う 帳場は正式に立てなくても警察庁は総力を上げて捜査を続行するつもりらしい」 「帳場なしで全国の警察官を動かすなんて可能なんですか」 「しかしやらなければならない だから、適当な所で手を引け」 「逃げろと言うんですか」 「君の性格からは受け入れないのはわかる だけど、強制捜査も出来ない状態でこんなヤマに深く入り込めば必ずドジを踏む その時は上は容赦なく兵隊を切り捨てるぞ、そうやって警察組織は残って来たんだ」 「わかってます、しかし引けません」 「何故だ、君も上手く立ち回らなきゃならない年だろ 他人のトラブルで火中の栗を拾う必要はない」 「しかしあいつは引かない あいつが行く所なら俺はどこにだってついて行きます 相棒ですから」 音田は深くためいきをついた 「あのズラがそんなに大事か」 「ズラ、本居は俺にとって」 「まあいい、勝手にしろ」
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