パトリック問題

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不肖の弟子達だ ところで獲物はどこにいる?」 入谷は署の一つの窓を示した 「あそこです」 「弁護士がぞろぞろ来るだろうな」 「大物ですからね」 「うざってーから久華検事に頼む事にした」 「東京地検の狂犬、確か僻地に飛ばされてたはずじゃ」 「昨日戻って来た て言うか上の弱みをどこかで握って脅迫して無理やり戻って来たらしいが」 「結局、高検検事長でも追放出来なかったわけか」 「検事総長でも歯が立たないよ、あの男には」 「あの人なら、こんな厄介な事件でも面倒みてくれるでしょう」 「ぶっちゃけた話、警察庁にとっては疫病神だがな」 その頃やっと聞き込みに一段落つけた真壁が署に戻って来た 真壁は相変わらず所属は新宿へそ曲がり署なのでお茶の水南署の刑事課には席はないため、立場上入谷署長直属の部下である。 当然報告も入谷に直接行う 真壁は帰って署長室に直行した。 「署長、真壁です 今日の捜査報告に参りました」 真壁はドア越しに声を掛けた しかし返事はなかった 真壁は出直そうと事務机のある刑事部屋に戻ろうとした。 その時署長室から声が聞こえた 「署長は玄関口にいたかはずだが会わなかったか」 真壁は引き返して署長室に入った 本居は応接セットのソファーに上着を抜いてゴロ寝していた。 真壁は直立不動で敬礼した。 「本居警部補殿、ご苦労様でした。」 「まあまあとにかく、土産の毬藻羊羹でも食って落ち着こう」 本居はソファーから立ち上がると数個買って来た箱を一つ開けて真壁に一つ投げた 真壁は初めて見る奇妙な菓子に驚いていた。 「お土産はボールですか」 「毬藻羊羹だ とにかく食えうまいぞ」 「マリ子羊羹」 「それしゃれだよな」 「じゃあとにかくいただきます」 真壁はそのまま口へ放り込もうと指でつまんで口を開けた 本居は驚愕の声を上げた 「わー止めろ」 「えっ?」 入谷が素早く入って来て毬藻羊羹を奪い取った 「死ぬ気か、全く」 入谷は自分のデスクから爪楊枝を出して毬藻羊羹の風船カバーに穴を開けるとつるんと出た羊羹を口に入れた 真壁は目を白黒させて見ていた。 本居が爪楊枝で毬藻羊羹に穴を開けて真壁に差し出した 「こうやって食べるんだピテカントロプス」 入谷もからかった 「わかったかネアンデルタール?」
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