パトリック問題

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横柄なやり方だが誰も嫌な顔はしない 多額の顧問料を払ってくれるからだ 草苅は最初に刑事専門のヤメ検に電話をかけた 何時もなら、すぐ出てくる弁護士は、全く受話器を取ろうとせず、挙げ句留守番電話になった 短期な草苅は別の弁護士に電話をした。 やはりつながらなかった 草苅は事務所に電話をかけた 事務員が対応した。 草苅は言った 「インフィニットの草苅だ どうなってんだ ケータイを忘れたのか先生は」 「私どもで連絡を取りますので、一度電話を切ってお待ち下さい、この電話番号におかけしますので」 電話を切ってすぐ事務員から電話があった 「草苅様、大原事務所の山井です 申し訳ありません 先生は現在法廷に立っております」 「いつ、電話に出てくれる」 「はい、なるべく早くと言ってました」 「もうそっちに連絡は言ってるんだろう 俺はお茶の水南署に捕まってるんだ いそ弁でいいから寄越してくれ」 「申し訳ありません 先生はすべてふさがっております」 「パラリーガルの君でもいいから、すぐ来てくれ」 「申し訳ありません 先生がご連絡を差し上げますから」 事務員はそそくさと言う様子で電話を勝手に切った 「おっおい、くそ、あの弁護士切ってやる」 「もう返してもらうぞ」 「おいちょっと待ってくれ、他の弁護士に」 「いくらかけたって 居留守を使われるよ」 「そんなバカな」 「ある男が東京に舞い戻って来たんだ その事で東京の司法界は震撼している」 「そんな、ナポレオンやシーザーじゃあるまいし、オーバーな」 「ルビコンを跨いで来たシーザーより厄介だ、久華と言う検事は」 草苅の顔が変わった 「久華、政次郎 東京地検の狂犬」 「知ってるね さすが元某組織の企業舎弟だな 悪人無頼は知らなきゃモグリと言われる史上最狂の検事だ あんたの事件の担当になってくれるそうだ 中央合同庁舎六号 東京地検刑事部久華検事公室 部屋中央に検事久華政次郎と言うプレート 左右に副検事と検察事務官の机がある 久華は年齢四十代後半 ダークスーツのような黒い背広をダンディーに着込んだ長身の男である セミロングの髪型で癖があり軽くパーマーのかかってるような髪質で顔は面長で彫りが深い、癖のある目つきで下から人を睨む 対面している被疑者はヤクザ風の若い男
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