パトリック問題

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である まだ若いチンピラなので素人に近く、三年近く九州の支部に飛ばされていた狂犬の事をご存知ないのである これから起こる事は想像もついていない 久華は横柄な態度のチンピラに怒りもせず説得していた 「まー、ホステスの引き抜きでしてやられたそっちの気持ちもわからないわけじゃないが、相手は小娘と二十歳そこそこのホストじゃないか 男を売ってるあんた達稼業としては大人げないんじゃないの ? こっちとしてはさ、 監禁罪として、あんたを立件したいわけじゃないわけよ 意地を張らずにさ、どこに監禁しているか話して下さいよ」 久華の態度にチンピラはいきがった 「冗談じゃねえよ あんなガキどもになめられて俺の顔が立つかってんだよ 弟分が落とし前をつけさせるまで俺は口が避けたって監禁場所は歌わねーよ」 久華の顔から愛想笑いが消えた 「絶対歌わねーんだな」 「当たり前だ、そこらへんの奴らと一緒にするな」 「じゃあ絶対歌うなよ」 久華はチンピラの肩口をつかんだ 「なにしゃがる」 チンピラは暴れようとしたが久華は片手で難なく子猫でも持ち上げるようにチンピラを差し上げた チンピラは恐怖のため暴れる気力も失った 久華はチンピラを下ろして言った 「兄さん、ちょっと上へ行こう」 「上って、どこだよ」 「22階つまり屋上だ」 副検事が慌てて止めた 「検事、またやるつもりですか 止めて下さい 君検事をお止めしろ」 検察事務官は出入り口に張り付いた チンピラは青くなった 「何するつもりだ 俺にだって人権が」 「おや、さっきと随分違うが 何ね、メンツメンツとこだわるお兄さんだから、よほどの金玉をお持ちだろうとおもいましてね 一つ拝見しようと」 久華はチンピラの頭を片脇に抱え込んだ チンピラは凄まじい力に抵抗する事も出来なかった 「おい、どけよ」 検察事務官は両手を広げて通せんぼをして言った 「だめです検事思いとどまって下さい」 久華は低い声で言った 「どかないとドアごとぶっ飛ぶぞ」 検察事務官はへなへなどドアの前で尻をついた 久華は片手でドアのノブをつかむと座ってる検察事務官を無視してドアを開けた 検察事務官は開けたドアにはじかれるように前に倒れた 久華はチンピラを片脇で抑えたまま部屋を出てドアを閉めた。
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