パトリック問題

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「さあ、さっさと書類を作って送検しろ」 「まあまあ、まだ日が高いから、焦らずとも」 音田は何を思ったか窓の鍵を開けて開いて外に対してタバコを吸った ニヤニヤわらいながら音田は引き返して来た。 「取り調べ室は禁煙なんだが、喫煙所までどうにも我慢が出来ない あんたも吸うんだろう多めに見てくれよ」 音田はさもうまそうにタバコを吸った 突然音田のケータイに着信が入った 「なに、そうか それはまずい、ちょっと待て、良く声が聞こえない」 音田はそう言うと電話をかけたまま取り調べ室を出て行ってしまった あとに残った草苅は窓が開けっ放しである事に気がついた 無理をすれば抜けられない事はない窓だった 『これで片がつく』 草苅は急いで窓に身体を押し込み足をかけようとした その時だった あの着信音が聞こえてドアが開いた フェイクの着信音をならしながら音田が言った 「ここは、三階だぞ その行動は自殺以外で説明出来るか」 「くそ、」 草苅は無理に身体を空中に踊らせた 草苅は落下した しかし下はアスファルトではなく救助用のマットだった かくして草苅は緊急保護措置として晴れて拘束バンドをつけられ南茶署の代用監獄に留置される事になった。 一方本居達は白板を持ち出し3人だけの捜査会議に熱中していた。 本居はペンで白板に字を書きながら言った 「赤城が残した謎のメッセージについて検討する時が来た」 入谷が言った 「車イス、サングラス、拡声器、どんなつもりなのか 前の捜査会議でも検討されたが結論は出なかった」 本居は言った 「謎めいたメッセージだが、意図する事もわからないのに解こうとしても徒労だろう」 「それに、今でもそうだが、建て前上は赤城は拉致されたと言うことになっている それを前提にするから余計わからないだろう つまりこのメッセージは赤城を拉致した何者かが残したと言う推定だ」 「この三つ、一つ一つ何を連想するか考えてみよう まず車イスだが、この車イスはいわゆる自走式だ 署長」 「車イスか パラリンピックとか」 「それより、もっと象徴的な物だ 真壁は」 真壁は答えた 「身体障害者、足の不自由な そうか、これは全部道具だから、その対象者を表してるんだ 車イスは足が不自由な人 サングラスは視覚障害者 拡声器は極端に解釈すると聾唖者だ」
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