パトリック問題

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「ナチスドイツの秘密資料ですよ 崩壊から約八十年」 「日本の東京裁判では、かなりの容疑者が裁判にかけられた しかしナチスドイツは容疑者は一割しか確保されなかった 九割が逃げたんだぞ そう言う奴らが世界中で過去を隠して生きてるんだ 良識派の国連事務総長ワルトハイムがナチ将校崩れだったんだぞ それもヒトラーの側近で有名なSSだとか まだまだここの資料館は蔵書が増えて行くだろう」 ここで少し真壁の行動を見てみよう 警察官ほど本人の才能と個性により適正が決まる職業はないと言われる 警察官と言う職業には合う人間と合わない人間がいるのだ そして合わない人間は絶対に生きがいを感じない仕事でもある 果たしてこの真壁はどうなのだろうか もと芸能界のトップアイドルと言う、変わり者の経歴を持った者が多い刑事と言う職業でも特に異色の経歴を持つ真壁憂 果たしてこの男にエリート崩れ(本居)、族では無いが硬派系チームのリーダーだった入谷のような異色警察官の才能があるのだろうか 入谷の温情で非番にしてもらった真壁はその後時間を持て余していた あれから休みなしの毎日サービス残業に近い日々だったから自宅に帰れば明日の朝まで寝てしまうだろう それほど疲れているのに新宿のマンションに戻る気にはなれなかった。 今まで味わった事のないような高揚が真壁の心を支配していた。 こんな高揚はまだ無名のアイドルの頃仲間とミニコンサートに走りまわってた時と同じ、いやそれ以上の興奮と充実感だった 真壁は興奮を抑え切れずいつの間にか赤城遼子の実家前に来ていた 非番中だし、今とりあえず赤城は被害者扱いなので不用意に家族への接触は出来ない それでも真壁はまるでストーカーのように赤城の実家の大邸宅と呼べるほど敷地を囲む高い塀の周辺を遠巻きにしながらうろついた 真壁は何故自分がここへ来たのかわからなかったが何かをかんじていた。 やがて家政婦がゴミ出しに勝手口から出てきた ゴミ収拾の場所は真壁のいる場所から見える場所だった ゴミ出しを終えると家政婦は勝手口から屋敷に入った しかしまた慌てたように勝手口から現れ小走りでゴミ収集場にいき物色してゴミ袋を取り上げそのまま屋敷に戻って勝手口から中へ入った 真壁は、間違って大事な物でも捨ててしまったんだろうと気にせず邸宅の前から離れて行った
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