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真壁はそれからしばらく考えながら歩いていた。
何を考えていたかと言うと赤城の残したメッセージの事だった
車椅子
目隠し
拡声器
人間の体だと足と目と喉に関わるメッセージ
赤城は何故このメッセージを残したのか
赤城遼子の事は芸能人の先輩と良く知っている
赤城遼子と言うのは極めてプロ意識の強い合理的な行動する女優だった
NGはほとんど出さない女優だったが特定の撮影の時は特にNGを出さなかった
その撮影とはライティングの強い撮影である
ライティングの強い撮影では、どうしてもメイクが落ちてしまう、するとメイク直しに時間がロスするし容貌もだんだんさえなくなって行く。
若く美しさを売り物にしている美人女優にとって、それは営業上不利になる
だからロケとかの外撮りで日差しの強い場所や、ストーリーの都合上バストショット(上半身以上がフレームに入る撮り方)以上の撮影が多い場合女優はNGを笑えない(ライトが顔に集中する可能性がたかくなるから)
そこでドライリハと言われるカメラを回さないでライティングなどの確認のため軽く演じる寸劇の頃からセリフや所さを頭に叩き込もうと必死になる
しかしそうは言っても女優達も人間だ
本番までの待ち時間が長ければスタッフにからかわれたり、共演者と冗談を言ったりするのが普通だ
そのためにセリフが完全に入ってない状態で撮影に入ってしまい、NGを出しメイク直しを何度もして、メイク上塗り(原則前のメイクはほとんどはがさない、時間がないからだ)でお化けのようになってしまい
撮影を中断させる事も結構あるが、それを非難される事はあまりない
スタッフと上手くやれない天狗女優ほどお呼びがかからなくなるからだ
しかし確かに天狗女優は困るがプロ意識のない女優も嫌われる
特に監督は少し真面目過ぎる女優を誰でもこのむ
その理由は監督と言う職業がポストプロダクションと言われるクランクアップ以降の作業に時間を取られるからである
監督はテレビであれ映画であれ作品を完成させる責任がある
簡単に言うと膨大な撮影カットの中から映像の放映時間に合うまで編集を続けるのだ
だからやり直しなど迷惑だ
赤城遼子はプロ意識が強く例え他とコミュニケーションを犠牲にしてもひたすら努力をしていた
だから彼女は多くの監督から信用され、あっちこちの監督から呼んでもらい人気女優になって行ったのだ
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