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女優にとって一番大事なのは周りに好かれるより監督に信用される事、それを理解し実践していた
言うはやすしだが、なかなか実践は出来ないものなのだ
もちろんスタッフや共演者に総スカンなら監督が気に入っても使いにくい
そのバランスはかなり難しい
そういう難しい駆け引きを赤城遼子はちゃんとこなしてこれたのは赤城が常に合理的な判断が出来たからだった。
その赤城がメッセージを残した限り何か必ず意味があるはずだ
真壁は考えながらただ歩いた
歩いてるうちに知らない場所へ来た
赤城の実家に来た時と同じ目標物が確認出来るのでそれほど遠方に来たのではないらしい
しかし馴染みのない町なので、やはりどこにいるかわからなかった
真壁は周りを見回した
正面の先の方にこじゃれたレストランのような食堂を見つけた
それを見つけた途端腹が鳴った
それは仕方なかった
この事件に関わってから規則的な食事をとっていないのだ
それを別に責めるつもりはないが考えてみれば健康にわるい
若ければ一度や二度食事を抜いても影響ないと言う考え方をする人もいるが若くても年寄りでも人間には必須カロリーと言うのがあるので食事抜きは健康に響いて来る
真壁はアイドル時代多忙で生活が不規則だったため栄養が偏って栄養失調になって休養させられた事があった
だから生活管理にはかなり厳しかった
「やべえ、なんか食わねえと」
真壁は小走りでレストランに駆け込んだ
しかし駆け込んだ途端回れ右して出て行こうとした。
理由は壁一面に掲げられた芸能人、有名人の色紙である
過去を隠すように生きている真壁にとって、こう言う店はありがたくない
しかしそう上手く逃げられなかった
店を出ようとした時若者たちのグループが入って来て押し返されてしまったのだ
店を出ると言うのはタイミングを逃すと難しいものだ
真壁はやむなく正面にあるカウンターについた
人の良さそうなマスターは気軽に真壁に注文取りに入ったが出て行こうとしているのを見ているので少し不快そうだった
「お客さんオーダーは何になさいますか」
真壁はマスターから薄いメニューを受け取り品定めをした。
その時だった
マスターが真壁の正体に気がついてしまったようだ
何しろ芸能人や有名人をつかまえては色紙を手に入れてるマスターである
ノーメイクすっぴんの真壁だって見逃すわけはない
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