パトリック問題

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心がすさんで行った 博打に手を出し、ヤバい連中との付き合いも始まった 業界からも見放され、友人もさり、酒と女、それから薬にも手を出しかけた そんなどん底の時に遼子にあった その時俺は確信した この娘は二十年、いやもしかしたら一生マドンナを演じ続けてくれるかもしれないと」 音田の目が鋭く光った 「何故だ あんたとあった時赤城遼子は二十歳にもならない娘だった 何故そんな小娘にそこまでの期待が出来る 直感的なんて言い訳は俺には通用しないぞ」 恫喝されて草刈は狼狽した。 自分がうっかり何を話してしまったか気がついたようだった 「刑事さんすまない 今の事はこれ以上聞かないでくれ どんな罪でも構わない早く俺を立件してくれ どんな供述ちょうしょうにもハンコをつくから 後生だからこれ以上その事を追求しないでくれ」 「そうは行かない 俺達は真実を知りたい 赤城遼子の真実を」 「だめだ嫌だ 俺は遼子を裏切れない」 「赤城遼子を裏切るだと」 「あわあわ、殺してくれ、いっそ殺してくれ」 しばらくして音田が署長室に戻って来た 本居が迎えた 「ご苦労様です警部殿」 「期待されたが収穫はなしだ、今の所な」 「まあ簡単には堕ちんでしょう」 「そっちは赤城遼子の過去を追って北海道くんだり行ったんだろう、何かわかったのか」 「だいたい赤城の目的はわかりました」 「復讐です、昔の恋人の」 「赤城遼子に男がいたのか」 「そのようです、まだ裏はとれてませんが」 「だとすると草刈はそれを知らなかったのか」 「それはわかりませんが」 「だって草刈は赤城を見てファンを裏切らないと感じたと言った、男がいたなら既にファンを裏切ってるじゃないか」 「草刈は赤城遼子はファンを裏切らないと思ったと言ったんですね」 「草刈はそう言うアイドルを探していたらしい」 「音田警部殿、草刈は赤城遼子の過去と大きく関わってると推定されます でなければ、ここまで自分を犠牲にはしないでしょう 赤城遼子の過去の男の事も草刈は知ってるはずです」 「知っていながら草刈は赤城遼子が裏切らないタレントだと考えた、既に恋愛経験のある赤城遼子を男免疫ゼロの清純派女優として維持出来ると 何故だ」 「草刈は何と言ってました?」 「草刈は口をつぐんでしまった 赤城遼子を裏切れないとも言った」
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