パトリック問題

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「裏切れない つまり論理的に考えると赤城遼子がファンを裏切らない理由は赤城にとって黒歴史」 「なんだそりゃ」 「すいません、つまり彼女の人生の闇の部分ですね」 「草刈の狼狽はすごかった まだ当分目を離せないぞ」 「落ちそうですか」 「落とさにゃなるまい だがこれがわかれば、この事件の何かが見えてくるような気がする」 「すいません無理言って」 「いや、うれしい、御奉公の締めくくりには、持って来いのヤマだ ただ」 「ただ」 「この事件は俺の袋にも入りきれないほど大きいんじゃないかと 政治圧力がどうのとか組織上のしがらみがどうのとか言ってるんじゃない 何かとてつもない何かを感じるんだ」 「音田警部殿もですか」 「君もか」 「はい」 「しかしほどほどにしろって言っても聞く耳もたんだろうな」 再びドイツの方に話を移そう 特別資料館内のパソコンを懸命に叩いている名高に対し今井は手持ち無沙汰のようである 「どうなさったんですか先生」 「最近何者かがここの資料を大量に持ち出している」 「えっ、テレビ局ですか」 「それなら、そう言う記録があるだろうし、原則持ち出す事は出来ない ところがある資料がすっかり抜けている」 「先生が調べようとした資料ですか」 「わからない、ちょっと気になるが私は調査に入る 君はどうする」 「お手伝いする事は」 「今はない、ドイツ語読めるか」 「第2外国語でとってたので簡単な物は」 「固い文章が多いから、ブロークンより読みやすいかもしれない 汚さないように好きなのを読みたまえ」 「でもどうやって資料を調べていいか」 「あの小さなパソコンを起こしてワードと言うのをクリックしたまえ、そこに英語で自分の知りたい情報を打ち込んでみろ 対象する資料があればそこのプレートナンバーがでる」 「わかりました、何か用事があったら言って下さい」 今井は名高の隣のパソコンに座った そしてワードと言う表示をクリックしてアルファベットを打ち込みディスプレイの前で待った。 突然ディスプレイに画面一杯にナンバーか並んだ 名高が横から覗き見た 「なんてワードを入れたんだ chemicalWepon おいおい化学兵器かよ」 「さすがナチスドイツですね すごい数だ」 「スクロールして見る勇気ある? 何枚あるかわからんぞ」
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