パトリック問題

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「あの赤く点滅してるのは何ですか」 「あれは閲覧不能な資料だ」 「えっしかしパソコンに何故表示するんですか」 「どうしても見たいか」 「ええ、」 「閲覧者は監視されるぞ」 「誰にですか」 「閲覧しようとする者はカメラに姿形をとられ、そのデータはドイツ秘密保安局とイスラエル政府に送られる」 「えっそんな」 「オデッサ(ナチスドイツの幹部の逃亡に力を貸したと言われる謎の組織)を疑われるんだ 「そうなるとどうなるんですか」 「さあ閲覧した奴を知らないからどうなるか いきなりイスラエルの諜報機関モサドがやって来て尋問する事は考えにくいが 何か事件があった時には警察とかを通じて呼び出しがあるかもしれない」 今井は身震いした。 「これは冗談でなくだ あきらめるかい それに俺としても君に厄介な物を背負いこまれるのは困る」 「しかし閲覧不能の書類をさけていたら真実なんかとても到達できないんじゃないでしょうか」 「そりゃそうだがやむおえなく禁を破るのと興味本位でタブーを犯すのでは意味が違う」 「いや、俺は別に興味本位だけで調べようとしたわけじゃありません」 「そりゃそうだ、君はジャーナリストのはしくれだもんな どうしても赤い光のナンバーの資料を見たいのか」 「はい」 「勝手にしろ」 「はい、勝手にします」 今井は書架を探しに出ようとした。 名高が言った 「ちょっと待て」 名高はメモに走り書きでナンバーを書いて今井に渡した 今井は不思議そうに尋ねた 「これは」 「書架に付属しているナンバーディスプレイに打ち込み、それからプレートナンバーを打ち込まないと書架のロックは外れない仕組みだ」 「ありがとうございます しかしなんで、そのロック解除ナンバーをご存知なんですか」 「それは、私の曾祖父が、この資料館の出資者の一人だからだ」 「えっここはドイツ政府の物じゃないんですか」 「所有はそうなんだけど、話せば長い事情があって まあとにかく、ここの資料をすべて閲覧出来るのは、日本人では曾祖父の会員権を継承した私だけだろう」 「あの、ちょっと違うような気がするんだけど」 「どう言う風に」 「本当にイスラエルに情報が漏れるんですか」 「その話か脅かし過ぎたか」 「ふかしですか」 「まあ、私見は入ってるが、しかしこの資料館じたいが
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