パトリック問題

44/128
前へ
/336ページ
次へ
真壁は本居の毒舌には付き合ってられないと送り先を聞くとケータイを切った その途端バラバラと人の群れが一方向に向かって行くのを見た 真壁は思わず叫んだ 「どうしたんですか」 一人が叫んだ 「首吊りだ まるでオーメンだよ」 真壁は不思議な事を言うなと思った オーメンと言えば十字架での串刺し 真壁はますます群衆化して行く人々を見ながら考えていた。 その中に入ろうと言う気持ちにはらなかった。 その群衆はあるいみ狂気さえ孕んでいた 人々が何か得体しれないものに戦慄を覚え、操られるように動いていると真壁には見えた 突然真壁は閃いた 真壁は映画の1シーンを思い出したのだ。 それはダミアンの屋敷でのエピソードで宣伝ラッシュにも使われていたシーンだった 真壁は人々の流れの方を確かめ、バイクにつけてあるバックを開けた 小型の望遠カメラである 真壁は写真を撮るのが趣味だった 真壁は人々の流れから、どんどん延長線を描いてとある高層ビルに着目した。 そして、その視点をどんどん屋上の方に移して行った そしてその屋上の一角をズームで拡大した時、真壁は思わずカメラを落としそうになった ビルの屋上から首を吊っている死体がぶら下がっているのである。 それも一人ではない ざっと見て3人はいる しかしそれより驚いたのはその服装だった 黒い服には金の刺繍 その刺繍の形はクロス 全員カナックを着ていた 真壁は思わず言った 「本居警部補殿 どうやらすでに事件は大きく動いてしまったようです」 話はまたドイツへ飛ぶ 名高と今井は小さなカフェレストランで夕飯を食べていた。 今井は本場のソーセージに舌鼓を打っていた。 今井は言った 「どうぞ、どうぞ先生どんどん注文して下さい 滞在費は余ってますから、夜の街に繰り出しましょうか」 「そんな浮かれていいのか まだ記事にして反響があるかどうかわからないのに」 「いやいいんですよ 収穫なんて半分あきらめてたんだから、これで私も大きな顔をして東京にもどれます 反響なんて運しだいですよ」 「ずいぶんアバウトなんだね」 「そうですよ いい加減ですよ 大手は知りませんけどね うちらゴロ雑誌はそんなもんですよ フェイクの心霊動画を作って、それを配信したりDVDにしたりして、反響を見て
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加