パトリック問題

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メディアの追求はヒートアップした 「ではバチカンも責任を取るべきですね」 「ありえません」 「しかし今あなたは」 「あなた達はキリスト教がわかっていない 我々司祭は直接主につながってるんです 法王様はキリスト教会の最高責任者であり尊い方で師でありますが父ではありません 我々の世界において父と呼べるのはイエスキリストだけです 法王様は兄なのです 俗世界では弟の責任を兄が負うんですか」 「ではキリストが全て責任をおうんですか」 「主は人類全ての責任を追う存在です 三人への司祭の責任も当然感じていらっしゃいます」 「そんなの詭弁だ」 「とにかく法王様の態度は法王様がお決めになる 我々が責任を負わせる事はできません では終わりにしたいと思います」 マスコミは激昂した。 「こら逃げるのか」 記者達が壇上に詰め寄った その時だったドアが開いて一人の記者が入って来た 「今度はプロテスタントの司祭の自殺だ それも玉川浄水場の着水池に死体が上がった」 「何だって、それじゃしばらく水を飲めなくなるだろう 聖職者がどうなってんだ」 大司教が十字を切って叫んだ 「おー主よ、我々を許したまえ」 記者の一人が言った 「法王の謝罪どころの話じゃないぞ この国の、いや世界中のキリスト教がどうかなっちまうこのままじゃ」 その頃ブラザーの家に一本の電話がかかった 相手は科学班の司祭だった 「ブラザー山形、これは珍しい」 「ブラザー、あんたしか頼める人がいない」 「なんだ改まって」 「俺をかくまってくれ」 「誰かに狙われてるのか」 「グランドファーザーの親衛隊だ 捕まれば殺される」 「逃げたのか、何故」 「ある物を奪って逃げたんだ もう俺はあの人にはついて行けない 俺はマイロンを完成させたいんだ しかしあの人は」 「しかし私もあの人の配下だぞ」 「あんたはあの人の息のかからない私兵をたくさん抱えている あんたなら俺を守れる筈だ それにあんたは」 「わかった、何とかここへ一人でたどり着け その土産を持ってな それが出来ない程度の男なら君は助ける価値もない」 「わかったおれも全てをかけてる」
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