パトリック問題

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「服用すれば極度な鬱状態になる」 「鬱、ただそれだけ」 「普通の鬱じゃない 自殺寸前の精神構造まで精神と自我が崩壊する 服用した者は百パーセント近く自殺し、もし生き残ってもゲシュタルト崩壊して廃人になってしまう その上調合を間違えなけれぱ胃にも血液にも青酸反応を含めた毒反応がほとんど出ない 素早く組織に吸収され体外へ蒸散される」 「つまり、表向きは自殺にしか見えないんだな」 「しかし調合を間違えると服用した途端死んでしまい、身体に毒反応が残る」 「ブラザー山形、グランドファーザーは、その薬の開発を君にさせたんだな抹殺 する代わりに」 「より高度な検査器でも証拠が残らないように完全な薬品を作るようにしじされた」 「要人クラスに投与しても薬の存在を見抜かれないようにするつもりだろう しかし仕事が気に食わなくても命びろいさせて貰ったんだ 何故こんな裏切りを」 「私は自殺薬を作るために組織に入ったんじゃない ナチが完成出来なかった究極のマイロンを完成させたかった いや、薬の完成と言うよりグランドファーザーの宗教改革に尽力したかった 腐敗して権力に結びついたカトリック 軍産との腐れ縁を切れないプロテスタント この二つの勢力の力を削ぎローマ帝国に歪められたキリスト教を本来あるべきイエスキリストの教えに戻すための改革をするためには多少の強引なやり方は仕方ない 君だってだからこの教団に入ったんだろう?」 「まあ、俺の場合はいろいろな」 「カルト教団を裏でコントロールして社会不安を起こし何も出来ない既成の大宗派から信者を離反させる 終末思想、預言、そして予言 ありとあらゆる方法で大宗派の屋台骨を崩したかに見えた しかしカトリックもプロテスタントも俗世界との癒着が大きく信者を失っても力は失わなかった 大宗派は政治権力を背景にカルト教団を飲み込んで行った 結局我々のやった事は宗教改革にはつながらす信者の獲得が頭うちになっていた大宗派の信者獲得に手を貸しただけ バブルもリーマンショックも全て我々が仕組んだのに、傷ついたのは力なき者達のみ、既成の大宗派とそれにつながる権力は無傷どころかどんどん肥えて行った」 「その頃からグランドファーザーは一度断念したマイロンの開発にこだわるようになったんだな もともとあの人はサリンを使って社会不安を煽るようなやり方を好む人
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