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それはアメリカの参戦とソ連邦の踏ん張りだろ」
「アメリカは最大の工業国だが軍事国家ではなかった
だからルーズベルトは参戦に当たりある連中から兵器生産のノウハウを手に入れた
その連中こそ今の軍産の基礎となった死の商人達だ
アメリカはヨーロッパ各国に植民地利権を死の商人達に譲り渡すように強制した。
アメリカだよりのヨーロッパ各国は植民地支配から手を引いた
それが表向きは民族独立に見えたのだ
ルーズベルトの手段を選ばぬやり方に反発したハルにルーズベルトは言った
ファッショよりバイオレンスの方がましだと
その時ルーズベルトと死の商人を仲介したのがプロテスタントや一部のカトリックの大司教や枢機卿達だった
死の商人の兵器のノウハウを手に入れたアメリカは恐るべき速さで国内産業を兵器産業に変えて行った
ドイツはその凄まじいアメリカの工業力が生み出した兵器に太刀打ち出来ずナチは敗退して行った
そしてついにナチスは敗北した
グランドファーザーの恨みはそこら辺りから来ているらしいと言う予測が可能だが実際私にもそうなのかわからない
グランドファーザー自体にもわからないんじゃないだろうか
恨みや憎しみとは元来そんなもんなのかもしれない」
ブラザー山形は苛立ったような顔で言った
「私はそんな個人的復讐のため、この教団に入ったんじゃない
私の目的はマイロンを完成させ、この乱れたキリスト教社会を本来のイエスの教えに従い導きたいんだ」
「それで俺に何をしろと言うんだ
まさかグランドファーザーに謀反を起こせとでも」
「いや、そこまでは
しかしあんたなら何とか出来ると」
「俺はグランドファーザーがマイロンを断念した理由が気になる
単純な力押しを考えてるのか
もっと別の意図があるのか」
「別の意図」
「自殺の時に聖痕が現れるって噂だが薬のせいなのか」
「そうとも言えるし違うとも言える
もともとこの薬はマイロンとして開発されたため、崇拝的な人間の精神構造を必要以上に刺激するんだ、宗教的教育を強く受けた者は自己暗示により聖痕が浮き出る事は十分ありうる」
「マイロンはある意味完成したんじゃないか」
「おそらく後は効果の調整だけの問題だけなのだろうが」
「効果を調整する事と汎用性を持たせる事、が薬品開発では最も重要で困難な事だ、精神系の薬品はある人間には効果があり、ある人間には
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