パトリック問題

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効果がないでは話にならない 自殺にまで自我を崩壊しないで、かつ全ての人間のマインドコントロールを可能にする事それこそマイロン開発の最も困難な点だ」 「普通の薬品でも適量を見つけるため動物実験数限りなく行われる マイロンはヒトラー時代から七十年以上実験を繰り返して未だに完成しない」 「マイロンは究極のマインドコントロール薬品だ、これを投与され一定の暗示を受けるとその対象を生涯崇拝する ヒトラーが絶対忠誠を求めて開発したまさに神薬だ」 ブラザー山形は言った 「すまない、しゃべり続けて喉が乾いた あの君の水差しの水を少しもらえないか」 ブラザーは少し驚いた顔になった 「いや、あの水差しはちょっと 冷蔵庫に冷えた飲み物があるから持ってこよう 少し食べる物も」 そう言うとブラザーはキッチンの方に向かった ブラザー山形は言った 「かまわなくていいから」 ブラザー山形は勝手に水差しを取った キッチンの方からブラザーが尋ねた 「その新薬だけどグランドファーザーは命名したのか」 「パトリックと言う名前をもらった」 「パトリック? 理由は」 「何もおっしゃらない うおっ」 ブラザー山形は急に苦しみ出した 「どうした」 ブラザーは引き返して来た ソファーの上でブラザー山形が経歴してもがいていた。 下には水差しが転がっていた。 「ブラザー山形、この水を飲んだのか」 ブラザー山形は苦しみもがきながら憎しみの目でブラザーを見た 今にも手を伸ばして首をつかみそうだった 「おのれ貴様はめたな」 そう言うと山形は気絶した。 ブラザーは言った 「だからあの水差しは飲むなと言ったのに 勘違いしないでくれ あれは私以外には飲めない水だ 私は毒と麻痺に強くなるように徐々に鍛えてきたんだ 麻痺薬の日だから幸いだった 毒物の日だったらしゃれにならなかった さて君をどうしたものかな 安心したまえ、君は利用価値がある 易々とグランドファーザーに引き渡すなんて事はしない 君に利用価値がある限り私は必ず君を守ってやる 君に利用価値がある限りね」 ブラザーは山形を見下ろして言った 「大丈夫だと思うが念のため緩和剤を打ってやるからこれからは他人の物に勝手に手をつけないようにね ブラザー山形、汝盗むなかれ」 ブラザーはアタッシュケースから注射と
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