パトリック問題

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すぐに見つからない 手に持っていたのが自分のバックだった パスポートやカードが入ってるバックである しかし今はそんな事を言ってる暇はない 今井は自分のバックをオーバースローでひったくりの足に投げつけた 見事に片足にヒットし、ひったくりは前のめりに倒れた しかしその時今井は驚愕の事実に気がついた ひったくり犯の倒れたのは踏み切りの中である それも電車が迫っている 理由はどうあれひったくり犯がひき殺されれは厄介事ではすまない、下手すれば殺人になってしまう 今井には選択の余地はなかった 猛然と今井は警告音のなる中踏み切りに飛び込んだ 足を痛めて立ち上がれないひったくりを肩を貸して立ち上がらせ投げつけたバックを拾い踏み切りを出ようとした もう頭は真っ白だったが、とにかくこんな所で死んでたまるかと全力で踏み切りから出ようとした。 しかし電車は迫って来る 警告音が頭の中をグルグル回った 電車のブレーキの金属音がすごい振動ともに近づいて来る 『もうだめだ』 今井は覚悟を決めた しかしギリギリで電車は止まった 止まった電車から運転手だけでなく乗客まで降りて来た 乗客だけでなく踏み切りのポールを乗り越えて群集まで集まって来た。 電車が止まったのだから当たり前であるが群集の中に日本ではあまり放映のないドイツ映画に出てくる警官が混じっていたのを見て今井が頭の中に現実が蘇った。 電車を止めてしまった事による多額の損害金もそうだが、それがひったくり犯とは言え人命を危険にさらした刑事責任を甘く見る事は出来ない 強制送還なら願ったりかなったりだが下手をすれば何年か食らって当然会社は首、一度に転落人生に落ちてしまう可能性が今井に迫っていた。 ここは何とか逃げ切らなければお先真っ暗である 今井はクタクタの体力を振り絞り半分気絶しているひったくり犯からバックを取り戻すと猛烈に走り出した 今井の態度に不審を感じた警察官はドイツ語で待てと言いながら追っかけて来たが今井は必死に逃げ続けた どこをどう走ったのかわからないが今井は体力の限界が来て気絶してしまった。 気がつくと今井は小さな医院のベッドの中にいた。 今井が起きて最初に考えたのは自分が捕まっているかどうかだった 保護されてるからと言って逃げおおせたかどうかはわからない その時看護師が一人入って来た 最もドイツでは看護婦と言うままだ
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