パトリック問題

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名高先生じゃ』 二人が離れた後も今井はその話が気になった しかし確かめてる余裕はなかった とにかくしばらく空港には近づかない方がいいだろう 今井はとりあえず郊外に離れる事を決めた 取材費用はまだ残っているから切り詰めれば生活にはこまらない、何とかこの場を乗り切って生活を守らなければならない 今井は地下鉄を使い郊外へ向かった 旅番組で見た近郊の街についた時今井はやっと一息つく事が出来た 今井が乗った地下鉄がその日の最終電車だった 今井は誰もいなくなった地下鉄ホームに取り残されたような気持ちがした。 しかし何か追い詰められるような強迫観念は薄らいでいた。 気持ちが落ち着いて来ると名高の事が気になった 結局見捨てるような形になってしまったからだ 日本人殺害の事も気になる しかし考えていても暗くなるだけだ 今井は夜更けのドイツ郊外の街へ今日の宿を探して歩きだした。 『名高先生は現金は少ししか持ってないはず カードがないのにどうするんだろう いよいよとなったら大使館に泣きつくしかないだろうな』 『しかし先生は正気に戻るんだろうか もし戻らなければこれからどうなるんだろう 最も俺だってどうなるかわからないが 東京に帰れるだろうな こんな所で人生踏み外すなんて勘弁してくれよ それから時間が経ち話は再び日本に戻る 本居は自宅でオーム真理教の事件を再検討していた。 オーム真理教事件の経過をざっと言うと事の始まりは麻原と言う男が起こしたヨガ教室だった それが宗教団体として大きく育って行く過程に信者に対する行き過ぎた矯正があり、その過程で起きてしまった傷害致死を組織ぐるみで隠蔽した事から凶悪化して行ったらしい 本居はこの話には何か抜けてるような気がしてならなかった それはオームの資金源である 新興宗教の資金源と言えば浄財と言う名目で行われる寄進行為だろうが、オームの信者のほとんどが若年層から青年層であり自分名義の多額な資産を持ってるとは思えないのである その上大概の信者は修行と称してほとんど労働しない訳だし、その生活費は一体どうやって捻出したのだろう
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