パトリック問題

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その時入谷署長から電話があった 「本やん、朗報だ 赤城の両親をそそのかしていた神父がわかった 夜襲をかけるか」 「ずいぶん急ぎだな 明日じゃだめか」 「実はそいつが今やさにしている所は神奈川県のA町なんだ」 「日雇い労働者と不法入国者の吹き溜まりか、昼間ノコノコ刑事が捜査に行ったら押し戻されてしまうな」 「夜襲をかけるなら付き合うぜ 昔取った杵柄できっちり守ってやるよ」 「それはありがたいがいいのか警視が警部補の護衛なんて聞いた事ねえぞ 組織の統制上キャリアどもがうるさいぞ」 「だからと言ってこの俺がダチを一人で危険な場所に送り込めるわけないだろう」 「しょうがないな じゃあ面倒見てくれ」 「きっちり守ってやるぜ 大船に乗った気持ちでいな」 「あのな もう一人守って貰えないかな」 「えっ」 数時間後A町の古ぼけたアパートの前に三人の男が立っていた。 革ジャンの入谷が言った 「すまないな真壁巡査部長、付き合って貰って」 「いや夜襲は初めてですから何か興奮しますが」 本居が言った 「何事も経験だ 俺が初めて夜襲を経験したのは入管法違反の外国人でいきなり拳銃を持たされた あの時は肝が冷えたぜ」 入谷が言った 「真壁君、今回は時間のづれた事情聴取と言う感じだから緊張しないでいいよ」 「いえスワットになったような気分です」 本居が言った 「今回は拳銃の所持は許可できないがな ところで署長、何だその格好、山賊か」 「若い時に着てた戦闘服だが中年太りしたが、まだ着られる 捨てられなくてな」 真壁は笑いながら言った 「何かバイオハザードに出てくる、なめると手痛い目に合うモブキャラって感じですね」 「モブキャラって何だ」 本居が言った 「ラストボスって言う意味だよ なあマッキー」 言葉を濁して真壁は返事した 「はっはい、もちろんそうです」 「そんなに悪人に見えるのか俺って まあいいわ、ここは敵地だからいつまでもふざけてはいられない 俺は玄関の方に待機する 真壁君はベランダ側の下にいてくれ」 本居が言った 「五階だぞ、準備しすぎじゃないか」 「追い詰められた奴はどうでるかわからない 事故を防ぐためにもバックアップが必要なんだ 捜査のカンは抜群だが防犯センスは教則レベルもないな君は」
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