パトリック問題

65/128
前へ
/336ページ
次へ
「どうせ俺は捜査しかできねえよ」 「とにかくメインは君だ 各自配置についてくれ」 真壁は緊張しながら反対側にあるベランダ側に向かった。 本居と入谷は玄関の方に向かった 本居は言った 「ここが奴のやさか」 「いや女の家だ」 「いい年こいて未だ居候かい」 「まあ家庭については俺は何も言えんが ガザ状も何もなしで深夜訪問だ 騒ぎ出さないように上手く説得してくれよ」 「説得、得意じゃねえな 俺流のやり方で大人しくさせるさ」 「脅迫か」 「まあな」 マンションの五階に上がると入谷は壁に背中をぴったりつくた 本居は言った 「その張り込み丸出しは止めろよ、隣人が騒ぎだす」 その時対象の家の中から男女の争う声が聞こえて来た。 入谷が言った 「また派手にやりやってるようだな」 「こう言った輩の揉め事の原因は浮気浪費借金ってところか」 「まずい時に来ちまったかな」 「いや、かえって好都合だ 後は頼むわ」 本居がドアを掴むとカギが掛かってないようでドアが開いた 中の二人は争いに夢中で出てこない 本居は声を掛けた 「すいません、」 二人の争いの声が止まった 男の声がした。 「お前見てこい」 「嫌よこんな顔じゃあ」 女の声を聞いた途端本居の頭にあるイメージが浮かんで来た そして、そのイメージを元に本居の作戦が決まった 同時に一人の男が奥から出て来た 男は五十代中盤の痩せたギスギスした男で年に似合わない派手な服装だが首にはロザリオをつけていた。 男は怪訝そうに聞いた 「なんの御用ですか こんな時間に」 その時本居は奥から心配そうに覗いた三十代の女の顔に今出来たばかり痣がある事を見逃さなかった。 本居は警察の身分証明書を見せた 「警察の者です」 相手の男は突然狼狽した。 「なっなんで警察が」 「その辺の事は交番で話しましょう パートナーの方も来て下さい」 女は突然慌てた 「なんでもないんです この人悪い人じゃありません」 男は女に言った 「お前が通報したのか」 本居が言った 「パートナーじゃないよ 第一通報されてはまずい事をか弱いパートナーにやってるんだろうあんた」 「これは内輪の問題で」 「世間の人は勘違いしてるんだよ 警察は家庭内の揉め事に首を突っ込まないと 警察の立場から言わせて貰えば、
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加