パトリック問題

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身勝手すぎるんじゃないか」 「わかっちゃいるけど過ぎた時間は戻っちゃ来ない」 「いや赤城遼子はその時間を取り戻そうとしているかもしれない 君のために狂ってしまった運命を再び取り戻そうとしているのかもしれない」 「やっぱりダメだ 今の俺には守りたい人間がいる やっと見つけた安息の場所なんだ 頼むから帰ってくれ」 「草刈は自殺しようとした 草刈は赤城に対し特別な感情を抱いている しかしそれだけじゃないだろう 赤城の人生に関わった者として責任を感じてるんだ 草刈はやがて落ちる 悪いが君の希望には沿えない 自分の女は自分で守れ どっちにしろケリをつけられるなら意地を見せたらどうだ 我々に協力してくれれば出来る限り守ってやる 安全な保証は十分じゃないが、やれる限りやってやる 協力してくれなければ我々はなにもしない」 「そんな甘い相手じゃないんだ、おそらくあんたらの護衛など役に立たないだろう しかしどっちに転んでも命が危ないなら少し考えさせてくれ」 「信じていいんだな」 「ああ、俺にだって良心はある しばらくでいい一人にしてくれ」 「了解した、堕落したとは言え 一度は神に身を捧げたあんただ そこら辺のチンピラとは違うだろう 信じるよ」 本居はあっさりと部屋を出た 後に残った元神父はダイニングへ行き冷蔵庫からビールを出して一息のみ大きくため息をついた 「真知子すまない やっぱり人間償いは必要だ」 そう言いながら元神父は食器棚の方をじっと見た 本居は玄関近くで張り込んでいた入谷と合流した。 入谷は言った 「すんだのか」 「いや少し時間をくれと、何か喉か乾いたから缶コーヒーでも奢るよ」 「大丈夫か離れて、逃げられちゃうんじゃ」 「大丈夫だ自分の良心にじじゅうじばくしていりからな」 二人はエレベーターに乗り一階に下りた 突然本居が聞いた 「それにしても、随分早く見つかったもんだな 二十数年も前神父だった人間を、もう少しかかると思った」 入谷は言った 「俺も自信はなかったが昔の知り合いを通して情報を収集した、そしたらメールが入ってて」 「メール?知り合いか」 「いや、情報だけ回してるから知り合いでないのから直接来る場合もある、情報は提供するがソースとして扱われたくない奴もいるんだ それが俺達の情報網だ、」
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