パトリック問題

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「最近定期でない移動で人が入っていないか」 「入れば報告が上がるはずだ」 「調べられないか」 「総務課長に聞いてみるか」 入谷はケータイをかけた 「課長、入谷だ 夜分すまない、ところで最近、ここ数日の間に不定期移動で南茶に来た奴いるか いる?警視庁本庁から生活安全課に一人出向して来た 何故署長の俺に報告しない 何、先方が俺がすでに了解してると言ったって 本居は言った 「そいつは何者かの犬だ 俺達の動きは何者かに情報流出されている 今回もはめられたかも、まずい神父の身に危険が」 男の怒鳴る声が聞こえた 二人はエレベーターに来たが間に合わないとわかると階段を駆け上がった 入谷の身体能力は異常だった ほとんど二回のジャンプで階段を駆け上がって行った ほぼ十秒で入谷は五階にある部屋に飛び込んだ 司祭が謎の男に襲われていた。 入谷は入って来るなり怪力で部屋の絨毯をひっぺかした 予想もつかない攻撃に覆面のプロの殺し屋も対応する術がなかった 入谷はひっぺかした絨毯で殺し屋を簀巻きのようにしてスタンドのコードで縛りつけて足で転がした 元神父に対して入谷は言った 「大丈夫か」 元神父はぼーぜんとしていたが何とか気を鎮めた 「あなたは」 「警察だ心配するな」 やっと本居が息を切って飛び込んで来た その時下の方で悲鳴が聞こえた 入谷が言った 「下の真壁だ」 入谷は入り口の方に戻ろうとしたが 『間に合わない』と言うとベランダの柵を越えた 本居が飛び出して下を見ると各階のベランダの柵に飛びつきながら降りて行く入谷の姿と数人の男と立ち回りをしている真壁の姿があった 「任せときゃすむだろう」 本居は元神父に言った 「すいません、俺の読み違いで」 「こっちも覚悟を決めた方がいいようだ 勝ち目のない危ない橋でも座して虫けらのように殺されるよりいい それより今飛び下りた人大丈夫ですか」 「大丈夫、ありゃ人間じゃないんで」 「本当に大丈夫ですか」 元神父は立ち上がり ベランダの方に確かめに行こうとした。 本居は叫んだ 「ダメだ、窓辺に行くな」 ヒュンと音がして元神父が崩れた 本居は駆け寄った 胸に一発食らっていたが息はしていた。 苦しい息から元神父は言った
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