パトリック問題

70/128
前へ
/336ページ
次へ
「悪の報いです」 「今救急車を」 「それより、あの食器棚の引き出し」 元神父は震える手で食器棚を指差した 「早く」 本居が引き出しを開けると小さなコインロッカーの鍵が見つかった 「これか」 「ジェーアール新宿駅南口コインロッカー」 「そこに何があるんだ」 「俺の、はあはあ、」 「頼む言ってくれ」 「懺悔録」 その途端本居は背中に殺気を感じた 素早く身をかわすと簀巻きにされた覆面の男が絨毯を切り裂きナイフを構えていた。 本居は手錠を取り出しメリケンザックのように構えた ナイフが素早く突っ込んで来た 本居はそれを手錠で防ぐと片手にベルトバックルに指をかけた スルスルとベルトが外れ、本居はそのベルトを鞭のように敵のナイフを持った手に絡みつけた 「チェストー」 本居は投げを打った 覆面男は投げ飛ばされたがすぐ立ち上がった。 そして言った 「脅しのつもりだったが、こいつが裏切るとはな 小悪党の癖に焼きが回ったか」 「人は良心の呪縛からは逃げられない ローズバットって有名な戯曲知ってるか」 「知らんな」 「じゃあ帰ったらWikipediaで検索してみな」 「お前を殺してからな」 覆面の男はつま先を床にぶつけた ぎらっと刃物が足先から出て来た 「それいいな どこで売ってるんだ」 「うるさい死ね」 敵は蹴りを入れて来た 本居はつま先につま先を当てて返した 敵はたじろいた 「バカな」 本居は言った 「俺の履いてるのもつま先に鉄が入ってるんだ ただし特注じゃなくてワークマンで買った工事用だけどな」 「なめやがって」 敵はナイフを構えたままカンフーのようなポーズを取った 本居は手錠をチャラチャラを音を立てながら歌い始めた 「♪広がる世界に夢があふれてる」 敵の蹴りが本居の前をかすめた 本居はバックしてよけた 「♪家族を思えば頑張れるはずだ」 本居は手錠を敵の足に投げつけた くるぶしに手錠がヒットして相手はバランスを崩した 痛さに思わず腰をかがめた敵の背後に回った本居はベルトを敵の首に回して荷物でも背負うように敵の背中を背負った。 「♪この街でくらそーみんな住む街で」 その時ベランダの方から入谷が現れた
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加