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ある山の麓にある寂れた修道院
鬱蒼とした森と湖に囲まれた空間
そこに佇む古いゴシック建築の建物
普通の教会よりも縦長で教会と言うよりも貴族の城のような雰囲気がある
その古く枯れた感じが怪しく謎めいて戦慄を煽る
その礼拝堂から女の悲しい声が聞こえて来た
「主よ、今あなたの元へ僕が一人向かいます
大いなる愛の力で御守り下さい
アーメン」
その二十年後
異世界のトンネルのような所を必死に走っている神父服の男は恐怖で顔が青ざめ今にも狂い出しそうである
やがて神父服の男は落下して行き地面に叩きつけられ現実世界で死ぬ
そしてそれより数日前から、この話は始まる
東京副都心新宿
JRの駅を降りてからガードをくぐったオフィス街にある十階建てのベージュ色の壁の雑居ビル
その一階から五階までを占めているのが芸能プロダクションインフィニットである
中堅芸能プロダクションの一つである
その五階にある社長室
奥まった所にある社長の黒いチェアの背後の壁には至誠と言う墨で書いた大きな額
その上の方には人気芸能人の写真が並んでいる
床には虎の大きな毛皮が敷いてあり、横壁には賞状が並んでいる
その椅子に座ってるのは、このプロダクションの社長草苅彰である。
年齢は五十台後半
身長は一メートル七十五位
青山学院の頃は応援団長として知られていた。
選手達に負けないガッチリした身体をしている。
顔は目鼻がはっきりしていて特に鼻はわしのように鼻骨が高い
髪はオールバックで酒でも入っているような赤ら顔だ
いかにも精悍な感じである
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