パトリック問題

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「しかし虫けらとしか思ってなかった元神父にも良心のかけらと五分の魂があった」 「元神父が懺悔録を書いていたのは教団にとって予想外だったはずだ 雇われた連中も雇った連中も今は大混乱を起こしているはずだ だが必ず懺悔録を奪い取ろうとするだろう」 「しんどいツアーになりそうだな」 「それでだ真壁なんだが、ちょっと無理じゃないかな」 「帰すのか」 「この地区で一人には出来ない、しかし安全な所まで来たら別れた方が」 その時真壁が帰って来た 「通報おえました」 本居は聞いた 「どうだった」 「現場保存のため残るように言われましたが」 「残るのか」 「きっぱり断りました」 入谷が言った 「神奈川県警から抗議が来るな」 本居が言った 「その時は署長よろしく」 「こんな時だけ署長かよ」 「さあ、時間がない行くぞ」 「ボルボ、昼間まで置いといたら駐禁でやられるな」 「元気で帰って反則金払おうや」 「三人で折半な」 「せこいな」 「行政処分を食らうのは俺だけ」 三人が進む先に道路工事の現場があった 夜間の工事燈がついていた。 真壁が言った 「終わって帰るみたいですよ」 本居が言った 「ダンプがある あれ借りられないかな」 入谷が言った 「頼んでみるか」 入谷は素早く監督と思える人物に近づき 身分証を見せた 「お忙しい所警視庁の入谷と申しますが公務でダンプを拝借出来ないでしょうか」 「警視庁の方ですか お仕事ご苦労様です いいですよ 田中君」 監督は作業員の一人に声をかけた 「なんですか監督」 「この人にダンプのキーを貸してやってくれ」 「わかりました」 田中と呼ばれた人物は入谷に近づいて来て言った 「ご苦労様です、今渡しますから、」 田中と呼ばれた人物はポケットをあちこち探した ズボンのポケットを探るとジャンパーの内ポケットに手を突っ込んで「あったあった、おまちどおさん」 しかし差し出して来たのは小型のナイフだった 入谷は素早くその手を取って言った 「さっき通った時工事看板が立ってなかった 偽装するなら徹底してやりな」 数人の作業員達が三人に迫って来た 本居が言った 「署長、妨害が目的だろうか それとも抹殺が目的が目的だろうか」 「両方じゃないか本やん 真壁君俺達の後ろにぴったりくっついてろ」
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