パトリック問題

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そして白兵と狙撃は同時には出来ない 乱戦の場合同士討ちになってしまうからだ だから敵が包囲戦を仕掛けて来る場合狙撃は仕掛ける前か乱戦の後だ 『つまり敵が狙撃を仕掛けて来る気なら今が一番まずい こちらから乱戦を仕掛けてどさくさに紛れて強行突破するしか道は残っていない にらみ合いが続けば続くほど敵の狙撃のチャンスを与える事になる』 本居は精神を集中させた 本居は気配を一本の木の上に感じ小声で入谷に話しかけた 「署長、正面街灯の隣の一番高い木の気配が他と違う リーダーはあそこだろう」 「ここから百メートルか、一気に突っ込み」 「ダメだ危険だ 登る時逃げられるか一斉に襲われる」 「しかしそれしか」 本居は真壁に言った 「マッキー、指笛出来るか」 真壁は答えた 「はい」 「署長が突入し、木の下に行くと同時に思いっきり力の限りふくんだ」 入谷は聞いた 「どう言う事だ」 「いきなり暗い所で指笛が鳴ったら 何と勘違いして、どういう行動を取る」 入谷は本居の作戦に気がついた 「そうか、わかった」 「派手にタッチダウンをかましてやれ 熟したカキが落ちればラッキーだが」 入谷はまるで猛獣のようなスピードで対象の木に突進した。 本居が叫んだ 「今だ」 真壁は思いっきり指笛を吹いた、それに続いて本居も指笛を鳴らした この音を聞いて敵は警察官の警笛と勘違いしてしまった いきなり予想外の警官の乱入と勘違いした敵は一瞬の戸惑いを見せた しかし木の上のリーダー格は戸惑いではすまなかった なぜならリーダーは状況を把握する責任があるからだ 状況を把握するための敵のリーダーの取った行動は木の上に行き視野を広げる事だった しかしこれがまずかった なぜならリーダーは赤外線ゴーグルをつけていたからだ ゴーグルをつければ人間の近くの視野は死角が多くなる まして赤外線ゴーグルである この時点でゴーグルを外せばまだましだったが森林戦も経験が多い敵のリーダーは油断した。 ゴーグルつけたまま登ってしまったのだ 敵が下に迫ってる事はわかっているが上にいる有利さから、まず全体の状況を把握する事を優先したのである しかしその時入谷は予想外の行動に出た 入谷は木に登らなかったのである 敵のリーダー格は少し不審に思ったが気にせず上の方に登って行った 木がどんどん細くなっている方へ
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