パトリック問題

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突然本居がひらりと身体の縦軸を中心にして駒のように縦回転した。 十本の指の間に挟まれた銀の玉は、まるで生きてるが如く放物線を描いて敵に襲いかかった。 本居は叫んだ 「今だ突っ切るぞ、二人とも俺に続け」 混乱している敵の中を本居は先導するように突っ走った。 真壁は飛び出して本居を追った しかし敵はすぐ体勢を立て直し真壁を包囲した 武器を構えて迫る敵に真壁は後ずさりするしかなかった その時だった また銀の玉が敵に襲いかかった 見ると本居が両手を十字に組ましていた。 再び体勢を立て直そうとする敵に猛烈な突撃をして弾き飛ばしたのは入谷だった 「真壁君、俺のそばから離れるな」 入谷は襲い来る敵をなぎ倒すようにして道を造って走った 本居はそれを確かめると再び先導して走り出した。 真壁はいきなりの展開に愕然としていたが、今はそんな事を考えてる余裕もなかった きっとこの危機を乗り越えれば、後で肝を冷やすのだろうが乗り越えられればの話で捕まれば命の保証さえ怪しい 真壁は後ろを振り向く余裕さえなかった どこらへんまで敵が迫ってるのかわからなかった その時入谷が言った 「敵さん、どんどん距離を縮めてやがる このままだと追いつかれるか撃ち殺される」 本居が答えた 「そろそろショットガンが届く距離だ 使って来る前に潰しておかないと」 入谷は聞いた 「あの中のどいつだと思う」 本居は少し振り向き追っ手の集団の先頭の中の一人をさした 「おそらくあいつだろう、」 「じゃあ潰して来るから先に行ってくれ」 「無茶するなよ あと少しで街中に入る、時間を稼いでくれればいい 入谷は敵の群れに向かって引き返して行った 真壁は聞いた 「大丈夫でしょうか署長」 「奴らのミッションは懺悔録を奪取する事だ 入谷の目的が足止めとわかるから全力ではかからないだろう 戦力を割いて俺達を追って来るだろう 入谷署長ならその背後を狙って崩せるはずだ 先手を崩せば後続は用心深くなる 無謀に見えるが署長は計算高い 適当に時間をかせけば戻って来るさ」 二人は走って駅までついた、ついて一息つくと手をふりながら入谷が何事もなかったように走って来た 真壁は心から礼を言った 「署長ありがとうございます おかげさまで命びろいを」 「ここまでくればとりあえずは大丈夫
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