パトリック問題

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「何かって何が」 「こっちの車線のかなり向こうのようへきの上だ」 「ようへきの上に人がいるんじゃ稲川淳二の怪談だろうに」 本居が叫んだ 「ありゃオートバイだ、奴らだ ようへきの上から俺達を襲撃するつもりだ ライフルも持ってる」 「全然わからないが しかしそうなら高速は戻れないぞ」 「このままじゃ間違いなく餌食になる おい、後ろに角材あったよな」 「あるが後ろの荷台だ、どうやって行く」 「いいか、ようへきから二メートルぐらいに寄ってくれ」 「ようへきを使って後ろの荷台へ移るつもりか、無茶苦茶だ」 「やらなきゃ奴らの餌食だ 俺がドアを開けたら急制動をしてくれ ただしロックはしないように」 「わかった」 本居はドアを開けるとようへきの方へ飛んだ その途端入谷は急ブレーキを掛けた 速度は原則したがダンプは大きくスリップした。 本居は飛びつく場所が大きく離れてしまい、このままでは地面に激突し、後続に轢かれるのは目に見えていた。 しかしその時、後続の車が急接近した 本居は後続の車のボンネットを足場にしダンプの後ろに飛びつき荷台に登った。 本居は荷台から乗り出して入谷に顕在をアピールした。 車をやっとの事で立て直した入谷は本居をサイドミラーで確認して胸をなで下ろした。 本居は角材の束に手を延ばしながら横の鉄バイブの束にちらりと目を向けた 「こいつを使ったら過剰防衛かなやっぱ」 本居は角材を抱えてダンプのルーフに飛び乗った 「おっとあぶねえ」 本居は素早くルーフを降りた 頭上を何かが通過するシュッと言う音がした。 本居は言った 「いくら俺の目が二コンマゼロでもスコープにはかなわない もう少し距離を縮めたい所だが、俺が囮にならないと署長を撃たれちまうからな ひなのため囮になる親鶏の心境だね」 本居はルーフに登った、その途端伏せた その上を弾丸が飛んで行った。 「おっとお次だ」 本居は高速の電光掲示板に飛びつくとダンプの荷台の一番端に降りた そして再びルーフに乗った 「いかん、署長にターゲットを変えたようだ 伏せるんだ」 「伏せろって運転中だぞ」 「高速はしばらくなら目をつぶっても走れるようになってるんだ 俺がある程度指揮するから信じて言う通りにしてくれ」 「わかったよ」 本居は荷台から身体を横に乗り出すようにしながら
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