パトリック問題

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入谷に指示をした。 「左により過ぎてる、こころもち右に切ってくれ そう、そのまま真っ直ぐ」 「そっちは大丈夫か」 「奴さんライフルを捨て銃に変えたぜ、敵を近くに迎えた場合、スコープをのぞいてると無防備になっちまうからな この距離でライフルを捨てるなんて、よほど生射撃に自信があるんだろう しまった、こっちを狙って来やがった、中継は中断だ しばらく自分の勘で運転してくれ」 銃声が二三度続いた 「大丈夫か本やん」 「すれすれで掠めたがなんの事はない」 「俺も勘を取り戻した 悪ガキの時目隠しでチキンレースやった事があるんだ 大きいから勝手が違うと思ったがおんなじだ こっちの事は気にせず、思う存分蚊とんぼを叩き落としてくれ」 「こっちの間合いにくりゃしょうぶしてやるさ とりあえずカムバックおめでとう」 「カムバックとは冗談きつい」 「そろそろ一発かましてやるから、急ハンドルは御免だぜ」 「俺の人生は真実一路 曲がった事は大嫌いってね」 本居の顔から笑みが消え、細い切れ長の目が獲物を狙う鷹のように鋭くなった 本居は再び角材を取り上げた。 その時銃声がした。 しかし本居は全く動じなかった 弾丸は本居の横を掠め荷台の後ろの鉄の柵に当たり音を立てた それから敵は荷台に本居の姿がみえにくくなったと感じた そして遂にダンプと敵はアクセス寸前まで距離を縮めた。 敵は本居の姿が消えたので運転席の後ろの荷台に身を小さくしてると考えた 通過する瞬間に仕留める事にした。 自信はあった そして遂にダンプが真下に近づいた しかし敵は本居を狙撃出来なかった 本居が消えたのである 『そんなバカな』 一瞬敵は動揺したが荷台のブルーシートが盛り上がってるのに気がついた 敵は情け容赦なく五発一度に発射出来る銃を発射した。 しかしブルーシートからは金属音しか聞こえなかった 『やったはずだがおかしい、流血もないなんて』 その時荷台の右側を本居が登って来た 本居は、なんと反対車線側の柵にぶら下がっていたのだ。 敵は左側にいるため右側のサイドは死角になりやすい、何よりも高速で反対車線側にぶら下がるなどクレイジー過ぎて想像も出来なかった
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