パトリック問題

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「大衆の興味は赤城の所属した教団に向かい始める、当然マスコミも競い合ってそこへのスクープを狙い始める」 「それがきっかけで過去の教団とオウムとの繋がりが明らかになれば、奴らにとってはとんでもない痛手になる 公安や公安調査庁に目を付けられたら、奴ら日本での活動に大きく支障が出る だから、赤城と教団の繋がりを示す証拠となる、おそらく赤城の入信経緯について記されていると考えられる懺悔禄をなんとしても阻止する事は十分考えられる 場合によっては爆破だって辞さないはずだ」 「赤城の化けの皮が剥がれる事は過去に古傷を持つ教団にとっても、都合が悪いって事か」 「おい、随分な言い方じゃないか」 「どうした本やん、怖い顔して」 「俺は、入谷と言う人間をみやまったのかな」 「おい、どういう意味だ」 「男と手をつないだ事もない 清純さが売り物だった女優が実は怪しげな教団の信者で、何をやっていたかわからない かつて女優に入れあげた男達が失望するのはわからないでもない しかし彼女の人格を否定されるほどの事なのか 怪しげな教団に入信したのは、彼女が望んだからじゃない 親に疎まれ、その親により放り込まれたんだ それを化け物扱いするなんて、それではレイブ被害者の女に、お前は汚れた女だと色眼鏡で見る頭の固い保守的な連中と同じ考え方だろう? どこか違うか」 「本やん、失言は謝る しかし何でこの赤城の事件だけ、こんなにむきになるんだ 教団がオウムと繋がってると言う根拠は何だ」 「署長、あんたオウム事件の時疑問を思わなかったか」 「そりゃ疑問だらけの事件だが」 「あの時一人の人間が 人間の命を天秤にかけられた 七十トンのサリンの重さが勝った」 「あの時は仕方なかった あと報道でも後でちゃんと釈明してるぞ 倫理的問題はあるが」 「七十トンって、ニトントラックやく三十五台、ただでさえ生成が難しいサリンを、オームの一部の学者達が短時間でそんな量をどうやって作る」 「しかし当時の刑事部長は弱小の山梨県警に大幅に肩入れして」 「そう、警察庁が動いた、何故動いた? こんな荒唐無稽な茶番のようなネタを本気にして何故警察庁が動いた? それはそのネタは日本に籍を持つ政治家も官僚も無条件で受け入れなければならない所がネタ元だからじゃないのか」 「アメリカか」
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