パトリック問題

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「それらから赤城遼子の失踪に赤城遼子の意図が絡んでる事がわかれば世間のこの事件に対する関心も変わり帳場がたてやすくなるな 何としてもその情報は確保したいな 本居君、手に入れたらすぐ私の所へ」 「それについてなんですが、それは容易じゃないんです」 「そうか、その情報は敵にとっては不味い物かもしれないからな」 「赤城遼子と教団のかつての繋がりに世論に目が行くと、事件の性質上マスコミは競って教団について調べ始めます 色々都合の悪い事があるのでしょう」 「今どこにいるんだ 近くの所轄からパトカーを回そう」 「我々はだいじょうぶです パトカーの護衛ぐらいでは焼け石に水ですし かえって足手まといです」 「しかし、何もしないわけには」 「それより心配なのはロッカーです」 「しかし鍵は君が持ってるんだろう 最もこじ開けるか」 「いや、敵はどのロッカーはわからないんです」 「なら心配はないだろう かなりの数のロッカーがあるはずだから どこのロッカーなんだ」 「新宿駅北口のロッカーですが、ロッカーの数がどんなにあろうと関係ありません そんな甘い奴らじゃないんだ 奴らが最後の手段に打って出たら」 「最後の手段て一体」 「北口ロッカールームの爆破です」 「いくらなんでも」 「非常手段に訴えても隠蔽したい証拠だってあります」 「転ばぬ先の杖か わかった 所轄の警邏に命じて君達が到着するまで現場を警戒させよう」 「とても防ぎ切れない相手です 犠牲者を出すだけだ」 「じゃあ警備の方を」 「とても所轄の警備なんかじゃ装備でも能力でも相手にならない」 「じゃあどうしろと言うんだ」 「SITと特殊車両に出動命令を出して下さい」 「SITだと」 SITとは警視庁刑事部により編成された突入専門の部隊である 「それは難しいよ本居君、刑事局の権限で所轄や方面本部に直接命令する前例はあるが刑事部を通さずシットを出す事は前例がない シットの出動命令は犯人の射殺と同じで警視庁の刑事部長の特権だ」 「では警視庁刑事部長に出動要請して下さい」 「簡単に言ってくれるなよ 警視庁と言うのは、他の県警とは全く違うんだ 警視総監は警察席次ナンバー2だぞ だてに庁を名乗ってない もし、出動要請をするなら、総監にお伺いを立てないと、そのためには、まず刑事局担当の
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