パトリック問題

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日本の警察官は世界一礼儀が正しい 入谷は言った 「お役目ご苦労様です 御茶ノ水南署入谷警視と本居警部補です」 シット隊員は敬礼した。 「これは失礼いたしました 自分は一課特殊捜査犯の山本巡査部長であります 命令は受けております こちらへお越し下さい」 本居と入谷はシット隊員の案内を受けて北口に入った。 北口のホールにはかなりの数の隊員達がそれぞれの任務についていた。 しかし数人の隊員は座り込んでいた。 中には救急キットで手当てを受けてる者もいた。 入谷は言った 「襲撃があったんですか山本さん」 「不審者を尋問したら逃亡しました 追跡の隙を狙い何者かの一団が突入を試みて来ましたが撃退しました」 思わず二人は手を握りあって目を輝かした 本居が言った 「こちら側の被害は」 「軽傷の者が数人出ただけですが、残念ながら全員取り逃がしました。」 『良かった、これで刑事局長の責任も問われない』 二人は安堵のため息をついた。 二人は問題の懺悔録を手に入れた 懺悔録はかなり分厚い物だった そこには一人の司祭の苦悩の重さがあった 入谷がぽつりと言った 「これほど苦しんでも自堕落な生活を止められなかったんだな」 「哀しい動物だね 人間なんて」 その時真壁から電話があった 「本居だが」 「警部補殿ですか あのご無事でしょうか」 「今の所はな だから電話に出られるんじゃないか」 「入谷署長は」 「ピンピンしてるよ」 「良かった、心配してたんです」 「お前さんに心配されても嬉しくないな 同じアイドルでも可愛い元アイドル娘上がりの婦警とかいないのかね どっかに」 真壁は憮然として言った。 「そんなのあるわけないでしょ 全く人が心配してりゃ」 「冗談だよ、むきになるなよ 俺達の事はもう心配ない 奴らもこれ以上無駄な事はしないだろう やれば足がつくからなお宝は明日署長室で拝ましてやるから早出して来い」 「わかりました ではくれぐれもお気をつけて」 真壁の電話が切れると隊員の一人が近づいて敬礼した。 「入谷警視殿自分は特殊捜査班の班長谷川です 少しお話が」 「何ですか谷川さん」 「よろしかったらブツを特殊捜査班でお預かりしても良いのですが」 言い方は丁寧だが命令を意味していた。 入谷が言った
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