パトリック問題

92/128
前へ
/336ページ
次へ
「それは課長(捜査一課長)の指示ですか」 「いえ違います」 「谷川さん、帳場が立っているならいざしれず、今はこのヤマは我々が担当しています 本庁捜査一課と言えど行き過ぎた干渉は控えて下さい」 取り方によっては失礼なものいいだったが谷川は引き下がった。 「わかりました しかし一課としても最後まで責任があるので、うちのパトを護衛につけさせて下さい」 「シットにパトなんてあるんですか」 「だからあれがうちのパト」 そう言って谷川は外にある特殊車両を指差した 「あれですか 出来たら遠慮したいな」 結局二人のダンプはシットの特殊車両に先導されて御茶ノ水南署に向かった 入谷が言った 「おい、通行人が足を止めて見てるぞ」 「そりゃそうだろう ジャリトラが装甲車に引率されるなんて珍しい光景だからな」 「これじゃ敵も襲撃しにくいな そう言う意味もありか」 「それより見直したよ署長」 「なにを」 「あの毅然とした態度、さすが関東を仕切った大親分だ」 「よせよ、金玉が縮みそうだった」 「しかし階級は同じだろ」 「同じ警視でも、向こうは泣く子も黙る本庁の捜査一課だぞ 俺達庶民はエリートには卑屈になるんだよ」 「そいつは頑張ったな」 「当たり前だ 命がけで任務をやって来たのに、美味しい所だけシットにかっさらわられてたまるか」 「ああそう言う次元ね」 「なんだその次元ってのは ああそうだよ 俺はそう言う肝っ玉の小さい男だ 前から思ってたんだが物いいがいちいち上から目線なんだよ」 入谷は本居の襟をつかんだ 「こら運転中に止めれ危ない」 拡声器の声がした。 『何かありましたか 運転が蛇行してますよ』 本居は入谷の腕をはねつけた そして窓から顔を出し言った 「何もありません お役目ご苦労様です」 本居は前の車に敬礼した。 しばらくして二人は御茶ノ水南署についた 二人はダンプから出ると大きな背伸びをした。 本居が言った 「ご到着だな」 「明日から忙しいぞ」 特殊車両から隊員が出て来て敬礼した。 「では警視殿、我々はこれで」 入谷は言った 「せっかくだからお茶でもどうですか」 「シャレですか?」 「シャレ?」 「お茶の水で お茶飲みす 御好意だけいただきますでは」 特殊車両は去って行った
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加