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入谷は本居に訊ねた
「本やん、俺今シャレ言ったけ?」
「昔ならシャレかもしれないな」
「昔っていつ頃」
「大正時代とか」
「シットって、あんなずれた奴ばっかなのか
ところでシットって普段一体何やってんだ」
「いつでも出動出来るため待機している事と訓練だろうな」
「明けても暮れても訓練してるんだろうな」
「何となくわかるな」
「まあいいわ、署に入ろう」
二人は署に入った
入谷は言った
「じゃあ俺一旦帰るから明日」
本居は聞いた
「家にか」
「別居されててもマイホームだ
警察共済のローンもあるし
本やんは」
「ブツを読んで行くよ、家に帰ったって休まるわけじゃないし、署長室でゴロ寝させてもらうわ」
「ああ勝手にしてくれ、じゃあな」
入谷はそのまま帰宅した。
本居は署長室の来客用ソファーに寝転がって懺悔録を読み始めた
懺悔録はいくつものエピソードに別れていたが決まって書き出しは、主よ告白しますとか主よお許し下さいと言う書き出しだった。
いくつかのエピソードを早読みして行った本居は遂に問題の箇所にたどり着いた
本居は流行る気持ちを抑えゆっくり読み始めた
『主よ告白します
私の話を聞いて下さい
つつみ隠さず告白する事をお誓いします
ある時私は信者から悩みを打ち明けられたのです
信者の名前は赤城伊知郎と言う人です
その悩みと言うのは彼のお嬢さんについてでした。
お嬢さんの名前は赤城遼子、清らかな美貌と高い知能を兼ね備えた少女でした。
しかし個性があまりにも強かったのです
それは彼女の長所でもあり、同時に短所でもあったのです
社交性がないとか、そう言うレベルではなかったそうです
他人とのコミュニケーションがほとんど出来なかったと言っても過言ではない状態と言います
なんと可哀想な娘でしょう、彼女はやがて登校も拒否し閉じこもるようになったのです、しかしそれでは収まりませんでした。
彼女の奇行が始まったのです
御両親はそれを直すためにあらゆる努力をいたしまたが、その効果は全くなく、ますます奇行は異常になって行ったのです。
そして奇行はだんだん危険な意味を含むようになりました
例えばマッチ棒で家を書き、それを燃し、それを眺めている
そのような異常で危険な行動が日増しにエスカレートして行ったのです
御両親はそれを自分達の責任と考え憔悴して行きました。
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