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いくら伊知郎さんでもあきらめると思ったのです
しかしどこも私の頼みに耳を貸してくれませんでした。
親を騙すようにして娘を引き離した私に力を貸して厄介事に巻き込まれたくないと言うのが本音だったようです
私はそのへんのやむおえない事情を説明しましたが誰も耳を貸そうとしませんでした。
全てを話して親の承諾をもらってから来いの建て前ばかりです
私は追い詰められました
いつになったら悪魔払いをして娘を返してくれるのだと日増しに請求が強くなって来ます
私はもう返すしかないのかとあきらめました。
しかしその時私にある情報が入って来たのです
ある教団が修道女助手を求めていると言うのです
それには条件がありました。
十六歳未満の美しい少女で、性に対して潔癖症で処女である事でした。
全ての条件が赤城遼子さんにマッチしていたのです
紹介者には多額の報酬が与えられると言う事でした。
正直言ってそれも大変魅力でした。
私はすさんだ生活のため、良からぬ所から金を借りて焦げつかしていたのです
しかしすぐ紹介しようと言う気持ちにはなりませんでした。
というのはその教団と言うのが普通の宗教団体ではなく、修道女や修道女助手が神に奉仕する事だけではない事を薄々噂で聞いていたからです。
かなり悩みました。
しかしこのまま遼子さんを家に帰したら一生飼い殺しにされるかもしれない
それですむならまだしも気の強い遼子さんの事です
反抗して、手に余った伊知郎さんは遼子さんを手にかけてしまうかもしれません
伊知郎さんはノイローゼを超えて狂気に近い状態でした。
親が子供を殺す悲劇だけは聖職者として見過ごすわけにはいきません
正直もうしますと多額の報酬にも心を動かされておりました。
それが判断に影響を与えた可能性を私は否定しません
しかし何よりも遼子さんが心配だったんです
その時は他の方法は考えられませんでした。
このまま家族に、遼子さんを返す事は見捨てる事と同じだと私は思いました
遂に私は決意し、教団に遼子さんの事を話しました
担当の司祭は遼子さんに会い充分納得したようでした。
こうなってしまえば、引き返す事はできません
その教団聖ルミナスはあの人が陰の主催者だからです
世界中の当局から要危険人物としてマークされ、それでも尚枢機卿の選出、果てはコンクラーベ(法皇選出)
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