パトリック問題

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においても強い影響力を持つと言われているキリスト世界の闇の帝王と言われるグランドファーザー、レインハドラー卿なのです グランドファーザーに助けを求めて途中で断る勇気など私にはありません 私は深く後悔しましたが後の祭りでした。 聖ルミナス教団の担当司祭は遼子さんの両親に会い、半ば強引に遼子さんを教団に引き取ってしまったのです 遂に私は信者を教団に売ってしまったのです。 深い後悔が私を苦しめました。 司祭としてまだ出来る事があったのではないか なんとしても伊知郎さんを説得すべきではなかったのか 例え信者を減らしても警察や児童相談所に相談していれば 汚れのない赤城遼子さんがあの教団の中で、どんないかがわしい事を強要されるのかそれを考えると身震いさえ起こりました しかし私は警察にも児童相談所にも、相談出来ず、毎日のように自分を責めたのです。 酒の量は増え高額な紹介料もいつの間にか消えてしまいました 後に残ったのは自己嫌悪と後悔、そして言い知れぬ空虚感借金でした。 私はそれから逃げるように転落して行ったのです。 主よ、哀れな私をお救い下さい アーメン』 読み終わった本居はため息をつくように一言言った 「やっと赤城遼子とレインハドラーがつながった これをどう使うか 慎重に考えなけりゃあ」 翌日早出をした真壁は署長室のソファに寝転がっている本居を見て敬礼した。 「ご苦労様でした警部補殿 あれ署長はまだですか」 「署長は遅れるそうだ」 「何か」 「方面部長の所へ釈明に言ってるんだ」 「朝から大変ですね 何か問題が」 「何言ってんだ 誰かさんが現場保存 のために残らないから神奈川県警から方面部長ところへ抗議が来たんだ」 真壁はかしこまった 「あーすいません」 「しかし神奈川の奴ら、相手が警視庁だと、やたらに闘志丸出しになりやがるな」 「いくら頑張っても、こっちは庁、向こうは本部ですからね」 「お前さんもなかなか言うようになったじゃないか 刑事はそのくらい自意識過剰でいいんだ」 「あの、ところで」 「何だ」 「懺悔録はどこにあるんですか」 「見たいのか」 「いや俺は途中でリタイアしたから」 「カッコつけるな ほれ」 本居は真壁に鍵を投げた。 真壁はそれを受け取り言った。 「これは」
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