パトリック問題

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「保管庫のキーだ 他の署員に見られない所で見ろよ 目的のページは46ページからだ」 「ありがとうございます」 「あっ、ハンカチもってるか」 「えっ?」 「何でもない行け」 真壁は首を傾げながら保管庫に向かった 婦警が入れ替わるように入って来た 「係長、お客様です」 「俺に」 「はい、道警からいらっしゃったそうです」 「来たか 来賓室あいてたら、そこで待たせてくれ」 「わかりました」 婦警は出て行った。 本居はネクタイを直した 「初デートの気分だ これで口があく」 本居が来賓室に行くと30歳ぐらいのスーツの男がかしこまって座っていた。 本居は言った 「どうもお待たせしまして」 男はすっと立ち上がった 「本居警部補殿ですか 私は道警の日暮と申します」 「遠い所ご苦労様です 警視庁の本居です」 「早速ですが首藤本部長から、これをお渡ししろといいつかってまいりました お納め下さい」 日暮は本居に小さな箱を渡した 本居はそれを受け取った 「確かにおわずかりしました 首藤本部長によろしくお伝え下さい」 「はい承知しました」 「このままとんぼ帰りですか」 「はい、そうですが」 「せっかく東京にいらしたなら、少し見物なさったら 誰か案内をつけますので 遠慮せずに」 「お気持ちはありがたいですが、仕事がありますし、それに私実家がこっちで大学までは東京でした 入庁して北海道へ」 「入庁、警察庁つまりキャリア」 「まあ一応」 「失礼ですが階級は」 「一応警視正ですが」 「失礼いたしました 私の階級に殿なんてつけるから同格か、それより格下だと」 「いえ、あなたは私の部下ではないのだから敬称をつけるのが普通です」 「そう言っていだたけると肩の荷がおります」 「では私はこれで」 「どうもありがとうございました」 本居は深々頭を下げた 日暮は軽く返礼すると部屋を出て行った 本居は言った 「首藤さんも人が悪い、何も片腕に使いやらせる事はないだろうに、キャリアが信頼する人間はやっぱりキャリアしかないのかね」 本居は近くの旅館にパソコンを持ち込み箱の中にあるFdをセットした。 そこには警察により封印されたパトリック問題の概要が記されていた。 内容は以下の通りである 今から二十数年前、ある殺人事件が起きた
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