パトリック問題

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被害者はいわゆる悪徳不動産ブローカーで、原野商法(価値のない土地を鉄道が通るとか嘘を言って高値で売りつける詐欺)の疑いのある男だった。 道警の捜査一課は所轄と合同で事件の捜査に入った。 捜査の途中で不動産ブローカーが、ある宗教団体についてかぎまわっていた事が判明する しかし当時は宗教団体は聖域でなかなか表だっては捜査が出来なかった。 事件に宗教団体が何らかの形で関わってると睨んだ捜査一課は極秘の潜入捜査を試みる 一方所轄の刑事課は不動産ブローカーの商売上のトラブルについて聞き込みを始める そこで不動産ブローカーが、ある土地の売買を巡って宗教団体と争っていたと言うのを知る 事情通によると原野商法のための荒れ地の購入において、教団が周辺の土地を大量に購入したため地価が跳ね上がってしまい、資金繰りに困ったブローカーが自分が購入を終えるまでしばらく控えてくれと頼み込んだが断られ、大変恨んでいたらしく、教団の弱みをつかんでやろうと周囲をかぎまわっていたと言う情報を得た 捜査一課と所轄の刑事課の捜査を総合すると、どうやら殺害された不動産ブローカーは教団の弱みを握って脅迫し、教団に抹殺された可能性が浮上して来る 捜査一課課長は不動産ブローカー殺人事件で合同捜査本部を設立するように上へ上申するが帳場を立てる段階に来て道警刑事部が二の足を踏んでしまう オーム事件が起きる前は警察は宗教団体に対し、遠慮がちになっていた。 これは戦前大日本帝国の時内務省の下にあった警察が反戦思想の強い宗教団体をまるでアカ狩りをするように弾圧した苦い経験があったたむ、戦後の民主警察はよほどの事がない限り宗教団体への強制捜査を避ける傾向があったからだった。 その上宗教団体が日本の団体ではないので外交問題に発展する可能性もけねんされた。 道警上層部はその時点では積極的ではないが中止命令を出す事はなかったので、捜査一課は捜査を続行した。 捜査一課は宗教団体立ち入り捜査の突破口となるトラブルを内偵していた。 そんな時問題の荒れ地に年若い女達が大量に入植して来る 女達は出家信者と言う事で、小屋を立て農作業や牧畜や養鶏などを始めるが地元住民とは全く付き合おうとはしない 女達だけでコミューンのような物を作り上げ自給自足で自治を行い、たまに司祭が訪れるような簡単な村落を形成して行く そしてその数は徐々に増えて行く
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