パトリック問題

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これに対して従来の村落の人々はよそ者に対する疎外感やコミューンで行われている火を使った宗教儀式に対する警戒感から好意的ではなかった。 特に対立したのは自警団的役割を持つ消防団だった 彼らは消防の手伝いの他防火責任も負わされ、事実上村の青年団と同じだった 分団の消防団長は村長の息子が青年団長を兼任してついていた事もあり消防団は村の青年団的性格を持っていた。 そんな鼻息の荒さもあり、消防団は強くコミューンや教団に対して村と関わりを持つよう迫った しかし教団も女達のリーダーも全く相手にしなかった 女達の大半が若く美しい事もあり青年団は相手にされない事に余計腹を立てた そんな対立の最中トラブルが起きた 消防団の若い団員がコミューンの数人の若い娘に破廉恥な行為を行ったのだ 軟派の如き誘いをかけて相手にされなかった事を根にもった悪戯程度の事だったが、それを知った女達のリーダーが女達を引き連れ、その団員を袋だたきにしてしまったのである このため消防団とコミューンは一度に対立状態になるが、報復はすぐには起きなかった 団員側に明らかに非があった事と消防団分団長が冷静だった事から話は過激な方向に進まなかった それどころかこれをきっかけにコミューンと話し合いが出来るのではないかと言う甘い観測さえ飛び交った。 消防団がそう言う期待をしたのは消防団員達に下心があったからだ。 なにしろ嫁不足の寒村に天女のような美女集団が降り立ったのだ 甘い期待をするなと言う方が無理である しかしその期待も木っ端微塵に砕かれる日がすぐ来た 教団側が自体を重く見て護衛のために若い司祭達を派遣して来たのである 司祭達はいずれも西洋人で長身で整った容姿をしていた。 中でもショックを与えたのはリーダー格の若い司祭だった その容姿はこの世の者と思えないほど優美で上品だった。 下心を砕かれたような気持ちになった消防団員達は嫉妬の持って行き所がなく、極めて攻撃になって行った 女達にはじをかかせる 報復すると言う言葉が酒の席と言えども堂々と口にされるようになった それを聞いて穏健で妻子持ちの少し年を行った団員は問題が起きて巻き添えになるのは御免と駐在にこっそり相談した。 駐在は騒ぎが起きたらとても一人じゃ対応出来ないからと署の方に応援を頼んだ ところがそれが問題を大きくした。 どこで聞きつけたが
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