パトリック問題

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その美しい司祭はパトリック助祭と呼ばれていた。 パトリックへの札は取れそうもないが、かなり強制的に任意の事情聴取は可能である パトリックがブローカー事件に関わっているかは不明だが重要な情報を持ってる可能性は否定出来ない 何か不審な事がパトリックの口から出れば、それをたてに教団へのガザ入れが可能になるかもしれない そしてガザ入れで何か出てくれば、いくら宗教関係に当たらずさわらずの道警上層部も帳場を大きく立てる事に同意するだろう やっと捜査の体制が整うのである そしてついに道警刑事部も重い腰を上げた 上層部はパトリック助祭の出家の勧誘に少しでも違法性があり、女性達がたぶらかされたと言う証拠が取れればパトリックの一本釣りでも事件にするつもりだった 宗教団体にガザ入れして何も出て来ません、誰も逮捕されませんでは宗教界その物から猛反発が来るからだ。 最もそれは上層部の官僚的世渡りであり、県警刑事部や所轄の刑事課の目的はあくまでブローカー殺人事件の真犯人の逮捕だった それぞれの思惑は異なるが北海道警は本格的にブローカー殺人事件の解決に対して動き出した しかし突然意外な所から横やりが入った。 その横やりを入れたのは警視庁だった 警視庁から来た刑事部参事官が言うのは以下の事だった 現在警視庁捜査一課では凶悪で危険なカルト宗教団体の内偵に入っている その宗教団体は大変危険な思想を持っていて、カリスマ性の強い指導者により率いられている まだ具体的事件の証拠はないが公安と捜査一課が協力して周辺のトラブルの洗い出しをしている 現在そのため宗教界と警察との関係がピリピリしている だからここで宗教がらみの事件で下手を踏まれると宗教界から大きく反撃をくらいカルト教団の捜査も棚上げになってしまうおそれがある 特に信者の出家の問題に首を突っ込むのは信教の自由、思想良心の自由とのがらみで慎重にしなければならない 今回は警視庁の顔を立ててなるべく問題を大きくしないで落とし所を間違えないで欲しい このカルト教団とはオームの事だろうが、もし道警がオームの実態を知っていれば問題はこじれなかったかもしれない しかしその頃オームの事など誰も知らなかった 誰もあのような凶悪な宗教団体が実在するなんて考えも及ばなかった もちろん道警の捜査官達もそうだ だから警視庁のこの要請は単なる捜査圧力と
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